政ちゃんと赤いりんご
本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
田舎から届いたりんごを巡り、兄弟の政ちゃんと勇ちゃんは奪い合いを繰り返す。政ちゃんは残った赤いりんごを学校へ持って行き、写生しようとするが、同級生の間で再び争奪戦が起き、彼らは教師から罰を受ける。一連の出来事を経て食べる気をなくした政ちゃんは、最終的にそのりんごを、外で見かけた猿に与え、騒動は幕を閉じる。この物語は、物への執着が招く兄弟や学友の喧嘩と、その顛末を描く。
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田舎のおばあさんから、送ってきたりんごがもう二つになってしまいました。
「政ちゃんなんか、一日に三つも、四つも食べるんだもの。」
「僕なんか、そんなに食べやしない。勇ちゃんこそ三つも四つもたべたんだい。」
二人は、いい争いました。そして、残った二つのりんごを、どちらが大きいか、めいめいでにらんでいました。
一つは、いくぶんか大きいが、色が青かったのです。一つは、小さいが、赤くて美しく見えました。
「僕、この大きなほうを取ろうや。」と、弟の政ちゃんが、すばしこく手を出して、大きなりんごを握ろうとしました。
「それは、おれのだい。」
兄の勇ちゃんは、政ちゃんの小さな手でつかんだ、りんごを奪ってしまいました。
さあ、たいへんです、二人は、そこでつかみ合いがはじまりました。畢竟、年の少ない政ちゃんは、かないませんでした。
「お母さん、僕のりんごを兄さんが奪ってしまったんですよ。」
泣きながら、政ちゃんは、お母さんのところへ訴えてゆきました。
「うそですよ、お母さん。僕は、大きいから、大きいのを取ったのです。政ちゃんは、小さいから、小さいのを取るのがあたりまえなんですね。」と、勇ちゃんは、つづいて、お母さんのところへやってきました。
「そんなことは、きまっていません。政ちゃんの持っているものを、なんで無理に奪ったりするんですか。」
お母さんは、こういう場合には、小さいものより、兄さんをしかるのがつねでした。
勇ちゃんは、手に、青い大きなりんごをしっかりと握っていました。そして、お母さんの裁判を、不平そうな顔つきをして、うつむいて聞いていました。
「田舎のおばあさんは、僕に、送ってくださったんでしょう。」と、政ちゃんが、いいました。
「いいえ、みんなに送ってくださったのです。」
「それみろ、政ちゃんは、自分ひとりのものだと思っているからいけないんだ。」
「あんな小さいの、やだい。」
政ちゃんは、からだをゆすって、だだをこねました。
「もう一つのを、持っておいで。」と、お母さんは、おっしゃいました。
「僕、あんな小さいのは、やだい。」と、政ちゃんは、いいながら、紅いりんごを持ってきました。