本文へ移動
TORENDIA

もずとすぎの木

本文約2,200字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

若いもずは、ある秋の日にすずめを追う途中、すぎの木と出会い親思いのすずめについて諭される。女の子から好意を寄せられたことで機嫌を良くしたもずは、すぎの木と翌年の再会を約束して飛び立つ。約束通り再会を果たし、周囲の人々や小鳥たちとの交流を重ねるが、三年目の秋に訪れた場所にはかつての景色は失われ、新たな工場が建っていた。小川未明は、自然の移ろいと開発される風景を背景に、小鳥の成長と再会、そして過ぎ去る時を綴る。

小川未明

速度
🎧 もずとすぎの木 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 3

若い元気なもずが、風の中をすずめを追いかけてきました。すずめは、死にもの狂いに飛んで、すいと黒くしげったかしの木の中へ下りると、もずはついにその姿を見失ってしまったので、そばの高いすぎの木の頂に下りて止まりました。

「ああ、ばかな骨おり損をしてしまった。」といって、いまいましそうに、もずは、くちばしを木の枝でふいていました。

これを聞いたすぎの木は、

「いいことをなさいましたよ。」といいました。もずは、目を光らして、

「私は仕損じてがっかりしているのに、なんでいいことをしたというのですか?」と、すぎの木に向かって、たずねたのです。

「あのすずめの母親は、病気なんですよ。そしてあの子すずめは、感心な親思いで、きっと母に食べさせる餌をさがしに出かけたのでしょう。あのすずめが、あなたに捕まったら、病気の母すずめは、悲しくて死んでしまうにちがいありません。」と、すぎの木は、答えたのでした。

これをきくと、もずは、はじめて、そんな感心な子すずめであったのかと思いました。

「そうですか、それは、いいことをした。もうすこしで私のつめは、あの子すずめの体にさわったのだ。いまごろどんなに驚いていることだろう。まだ、私が、ねらっていると思うだろうから、私は、そんなことを忘れてしまったと知らせるために、唄をうたってやりましょう。」

若い、元気なもずは、すぎの木の頂で、風に吹かれながら、青空に向かって、高い、そして鋭い声で、おもしろそうな唄をうたったのであります。その声は、遠くまでひびいたのでした。

「ごらんなさい。いままで、方々にきこえていた小鳥たちの声が、あなたの声をきくとぴったりと止まって、静かになったじゃありませんか、みんなあなたを怖れているのです。」と、すぎの木は、いいました。

このとき、木の下の方で、人の声がしました。もずが見ると、かきの木があって、赤い実がたくさんなっていました。そのそばに、一軒のわら家があって、六つばかりの女の子が、

「あの鳥は、なんという鳥なの?」といって、おじいさんに、きいていました。おじいさんは、眼鏡をかけて、日の当たる縁側でご本を見ていられましたが、

小川未明の他の作品

同じジャンルの朗読つきの本