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TORENDIA

平原の木と鳥

本文約3,400字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

平原で高く舞い上がり名声を誇るひばりと、地上近くで村や野原の労働者に勇気を与えるほおじろの対比を描く。鳥刺しに捕らえられた雄のほおじろを失った後、雌は残された三羽の子供たちを懸命に育て上げる。成長した子供たちが父の面影を追い、自由に大空へ羽ばたいていく姿を通して、危険を顧みず正しく生きることの尊さと、失われた父への敬慕、そして次代へと受け継がれる生命の強さを叙情的に綴る物語である。

小川未明

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🎧 平原の木と鳥 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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春の先駆者であるひばりが、大空に高く舞い上がって、しきりにさえずるときに、謙遜なほおじろは、田圃の畦道に立っているはんのきや、平原の高い木のいただきに止まって、村や、野原をながめながらさえずりました。

「もっと高く上がって、鳴いたらいいじゃないか? 春の魁となるくらいなら、おれみたいに敵を怖ろしがらぬ勇気がなければならない。おれは、高く、高く、できるだけ高く上がって、声をかぎりに鳴くのだ。野原や、村にばかり、呼びかけるのじゃない。遠く町にも、海にも呼びかけるのだ。どこからでも、おれの姿は見えるだろう。敵は、いつでもおれをねらうことができる。おれは、春の先駆者なんだ。君たちも、もっと勇気がなければいけない。」

ひばりは、こう、ほおじろに向かっていいました。おとなしいほおじろだったけれど、卑怯者と見られたことが残念だったのです。

「ひばりくん、それはちがうでしょう? なるほど、君は海に、野原に、町に、村に、呼びかけている。そして、雲の上まで高く昇って呼びかけている。みんなは、君の姿を見ようとするけれど、あまりに、地上から距離がはなれています。君を捕らえようと思うものまで、あきらめてしまうものが多い。だから、君の評判は、高いけれど、かえって、安全なのです。これに反して、私たちは高く上がらないでしょう。あるいは、性質上できないのかもしれません。いつも、こずえのいただきから、いただきへと飛びまわって叫んでいます。そして、君のいわれるように、私の声はあちらの町や、海の上にまで達しないかもしれない。けれど、野原に生活するいっさいのものに、村で働くすべてのものに、春の魂をふき込んでいます。君の叫びと私の叫びと、叫びがちがうとはけっして思っていない。敵にねらわれるということからいえば、地上にいるだけにどれほど、私たちのほうが、危険であるかしれないでしょう。」

ほおじろは、こう、傲慢なひばりに向かって、答えました。ひばりは、この言葉をきかぬふりして、あざけりながら、空に、吸い込まれるように舞い上がって、姿を消してしまったのです。しかし、その朗らかに、歌う声だけはきこえてきました。

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