金が出ずに、なしの産まれた話
本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
山から宝が出るという空想に取り憑かれた金持ちは、多額の財産を投じて坑道を掘り進める。しかし期待した鉱脈は見つからず、事業は頓挫して金持ちは姿を消す。残された三人の坑夫は病に倒れ、墓に植えられたなしの木が村に広まっていく過程を描く。後に村の名産となったその実は、甘さの中にどこか淡い哀しみを湛えている。
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ある金持ちが、毎日、座敷にすわって、あちらの山を見ていますと、そのうちに、
「なにか、あの山から、宝でも出ないものかなあ。」というような空想にふけりました。
その山というのは、あまり高くはなかったが、形がいかにもよかったのです。
ちょうど、そのころ、旅の技師が、この村を通って、
「この山には、銅がありそうだ。」といったといううわさを金持ちはききこみました。
「やはり虫が知らせたのだ。毎日、自分はあの山を見ていると、なにか宝がありそうな気がしてならなかった。」
ある日、金持ちは、金づちを腰にさして、山へ出かけてゆきました。そして、山の中に、頭を出している石を、コチン! と打っては、欠いてみました。すると、ぴかっとして日の光に、金色にかがやくものがまじっていました。それから、夢中になって、あたりに落ちている石を割ってみたり、拾い上げて、日にさらしてみたりしますと、どれにも、なにかぴかぴかと光るものがはいっていました。
「銅ばかりでなく、金が出るかもしれない。」
金持ちは、もう頭の中は、宝を掘りあてたときの喜びでいっぱいになって、考え顔をしてもどってまいりました。
それから後のことです。
「地主さんのまくらもとへ金の仏さまがお立ちになって、山を掘れとおっしゃった……。」とか、
「だんなさまが、お座敷にすわって、あちらを見ていなさると、山の方で、金の仏さまが手招きなさった……。」とか、村にはいろいろの話が持ち上がりました。
三人の熟練した坑夫が、北の遠い島から、呼ばれることになりました。
「さあ、宝を掘りあてて、大金持ちになるか、貧乏をして、裸になるか、運だめしだ。力のつづくかぎりやってみよう。のるもそるも人間の一生だからな。」
金持ちは、ついひまなものだから、ちょっとした空想が、大きなことになったので、自分ながらあきれましたが、もう、そのときは、村の人たちもたくさん仕事に雇われて、働いていました。島からきた、三人の坑夫は、めいめいいうことがちがっていました。
「この山には、銅も、銀も、金も、鉄もあるけれど、まだ、年が若い。」と、一人がいいました。
これを聞いた金持ちは、