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TORENDIA

草原の夢

本文約4,100字 ・ 読了時間 約9分

あらすじ(AIが作成しました)

村はずれの草原で遊ぶ三人の少年は、通りかかった物知りのおばさんから、魔物が人間の生き血を吸う病にまつわる不思議な話を聞く。二股のおんばこという草を乾して灯せば、病人の枕元に魔物が姿を現すという伝承に、少年たちは病弱な友人・孝ちゃんを救おうと思いつく。彼らは魔物を見分ける方法を模索しながら、真夏の草原で夢中で二股のおんばこを探し回り、不思議な空想を抱いて夕暮れまで野原を駆けまわる様子を描く。

小川未明

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🎧 草原の夢 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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私たちは、村はずれの野原で、日の暮れるのも知らずに遊んでいました。草の上をころげまわったり、相撲を取ったり、また鬼ごっこなどをして遊んでいると、時間は、はやくたってしまったのです。

毎日学校から帰ると、家にじっとしていられませんでした。机に向かっても、遠くあちらの草原の方から、自分を呼んでいる声がきこえるようです。そして、大急ぎで、復習をすますと、駆け出してゆきました。

ある日のこと、正ちゃんや、善ちゃんは、もう先に野原へいっていて、なにかしながら、わいわいいっていました。

「なにをして遊んでいるのだろう?」と、私は、そのそばへ駆けてゆきました。

二人は、おんばこの花茎を取ってきて、それをからみ合わせて、相撲を取らしていたのです。太い茎が、あたりまえなら、細い茎より強くて、切り放してしまうのですけれど、見ていると、善ちゃんの持った細いのが強くて、正ちゃんのつぎつぎに出す太い茎をぶつりぶつりと切ってしまいました。

「やあ、勝った! 勝った! どんな強いのでも持っておいで!」と、善ちゃんは、いばっていたのです。

「善ちゃんのは、強いなあ。だけど、こんど、僕、きっと負かしてみせるから。」

こういって、正ちゃんは、おんばこの花茎をさがしに立ち上がりました。

「よし、善ちゃん、こんど僕とやろうよ。」と、私は、いいました。

「ああ、どんな強いんでもいいから、持ってきたまえ。」

善ちゃんは、まだたくさんある、自分の手の中の花茎をながめています。そして、正ちゃんのすわっていたところには、みんな半分に切れたおんばこの茎がいたましく散らばっていました。

白い雲の多い日です。日の光は、きらきらと草の葉の上にあたっていました。私たちは、おんばこをさがして実のなっている長い茎を抜いて歩きました。

「こんなに採った。もういいだろう……。」

走って、私は、善ちゃんのいるところへもどりました。正ちゃんも、幾本となく握って、かたきうちをしようと、勇んで駆けてきました。

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