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TORENDIA

五銭のあたま

本文約1,400字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

ある田舎の村で二軒の床屋が客を取り合う中、三軒目が加わり競争が激化する。子供の散髪代を値下げする店が現れ、さらに一軒が五銭という破格の料金を打ち出す。サービスを省く店と、上質な香水などで差別化を図る店との間で、客である子供たちの間にも頭の香りで料金を嗅ぎ分ける風潮が広まる。三軒の床屋が繰り広げる価格競争と、それに翻弄される村の様子を、空飛ぶからすの鳴き声を交えて描く。

小川未明

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🎧 五銭のあたま / 朗読音声: VOICEVOX:青山龍星

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ある田舎に、同じような床屋が二軒ありました。たがいに、お客を自分のほうへたくさん取ろうと思っていました。一軒が、店さきをきれいにすれば、一軒もそれに負けまいと思って、大工を呼んできてきれいにしました。

一軒で、お客に、お茶を出せば、また一軒でも、それを見習って、お客にお茶を出したのであります。そして、各々の床屋の主人は、すこしでもていねいに、客の頭を刈って、また、ていねいに顔を剃ったのでした。

「あすこの家は、しんせつで、それに仕事がていねいだから、あすこの家へゆくことにしよう。」と、客にいってもらえれば、このうえのないしあわせでありましたからです。

だから、お客は、どちらの家へいったら、いいものだろうと迷いました。なかには、あちらの家へ一度いったら、そのつぎには、こちらの家へゆくことに、心のうちできめたものもありました。

こうして、この村に、床屋が二軒でありましたうちは、まだ無事ですみましたけれど、ふいに、もう一軒、新しい、同じような床屋が増えたのであります。

「やあ、床屋が三軒になったぞ。」と、子供たちは目をまるくして、新しくできた床屋の前を通りました。

そうなると、三軒の競争ははげしくなりました。お茶を出したり、店さきをきれいにしたり、またいろいろな額などを掛けたくらいでは、自分のほうへお客を引く、たしにはなりませんでした。

いままで、その村の床屋では、子供の頭を刈るのに、拾銭でありました。三軒が、同じく拾銭であればこそ、こういうように競争が起こるのだけれど、その中の一軒が安くすれば、お客は、しぜん安いほうへくるにちがいないと、一軒の主人は考えたのです。そこで、その店は、子供の頭を八銭に値下げしました。すると、はたして、主人が考えたように、お客は、みんなその安い店へやってきました。

他の二軒は、これを見て、これではしかたがないと思いました。その二軒の主人は、この問題について、相談したのです。

「あなたは、どうなさいますか。」と、一軒の主人はいいました。

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