ある日の先生と子供
本文約3,600字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
寒い朝、吉雄は飼っているやまがらを気遣い、良かれと思って餌ちょくに熱いお湯を入れる。学校で友人に小鳥にお湯は危険だと指摘された吉雄は、不安になり先生に尋ねる。先生たちから小鳥と人間の違いや自然の摂理を諭されるが、帰宅して鳥の身を案じる心は消えない。その後、クラスでこの出来事を話題にされた吉雄は、自身の行動を否定され恥をかくが、後にその先生の教えが必ずしも正しくなかったと知ることになる物語。
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それは、寒い日でありました。指のさきも、鼻の頭も、赤くなるような寒い日でありました。吉雄は、いつものように、朝早くから起きました。
「お母さん、寒い日ですね。」と、ごあいさつをして震えていました。
「火鉢に、火がとってあるから、おあたんなさい。」と、お母さんは、もう、朝のご飯の支度をしながらいわれました。
吉雄は、火鉢の前にいって、すわって手を暖めました。家の外には、風が吹いていました。そして雪の上は凍っていました。
「いま、熱いお汁でご飯を食べると、体があたたかくなりますよ。」と、お母さんは、いわれました。
そのうちに、ご飯になって、吉雄は、お膳に向かい、あたたかなご飯とお汁で、朝飯を食べたのであります。
「番茶がよく出たから、熱いお茶を飲んでいらっしゃい。体が、あたたかになるから。」と、お母さんは、吉雄の、ご飯が終わるころにいわれました。
吉雄は、お母さんのいわれたように、いたしました。すると、ちょうど、汽車の汽罐車に石炭をいれたように、体じゅうがあたたまって、急に元気が出てきたのであります。
吉雄は、学校へゆく前には、かならず、かわいがって飼っておいたやまがらに、餌をやり、水をやることを怠りませんでした。
夜の中は、寒いので、毎晩、やまがらのかごには、上からふろしきをかけてやりました。そして、学校へゆく時分に、そのふろしきを取ってやったのです。
その日も、吉雄は、いつものごとくふろしきを除けて、かごを出してやりました。そして、餌をやり、水を換えてやってから、鳥かごを、戸口の柱にかけてやりました。
太陽が、いちばん早く、ここにかけてある鳥かごにさしたからであります。けれども、あまり寒いので、鳥は、すくんで、体をふくらましていました。やがて、太陽が、かごの上をさす時分には、元気を出して、あちらに止まり、こちらに止まって、そして、もんどり打ってよくさえずるでありましょうが、いまは、そんなようすも見られませんでした。
しかし、鳥がそうする時分は、吉雄は、学校へいってしまって、教室にはいって、先生から、お修身や、算術を教わっているころなのでありました。