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TORENDIA

翼の破れたからす

本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分

あらすじ(AIが作成しました)

西の山の森に住むからすの群れは、毎日列をなして餌を求め飛び回る。ある日、太郎は群れの中に右の翼を傷めた一羽のからすを見つける。仲間たちにいたわられながら飛ぶその姿に太郎は同情を寄せるが、やがて群れの中にその姿が見えなくなる。怪我をした友だちを思い浮かべながら、太郎は翼を傷めたからすの行く末を気遣い続ける。春が訪れたある日、再び元気よく飛ぶその姿を見つけ、太郎は喜びを噛みしめる。

小川未明

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🎧 翼の破れたからす / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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西の山のふもとの森の中に、からすが巣を造っていました。そして、毎日、朝はまだ、空の明けきらないうす暗いうちから、みんなのからすは列をなして、東の空を指して高く飛んでゆきました。

その時分、村では、起きた家もあれば、まだ寝ている家もありました。からすは、こうして餌を探しに出るのでした。

一日、町の裏や、圃や、また河の淵や、海浜など、方々で食を求めるのでした。一羽がなにかいいものを見つけましたときは、これをみんなに知らせました。そして、けっして、ひとりでそれをばみんな自分のものにしようとはしませんでした。

みんなは、どこへ飛んでゆくのにも、いっしょでありました。また、ひとりがほかのとびやたかなどにかかって、いじめられるようなときがあれば、そのひとりの友だちを見捨てるようなことは、しませんでした。あくまで、その友だちを助けました。そして、いっしょになって戦うか、また、逃げるかしたのであります。

晩方になると、からすたちは、また、山のふもとをさして、列を造って帰るのでした。

「カア、カア。」と鳴いて、村の上の空を高く飛んで過ぎたのであります。春、夏、秋、冬。毎日、毎日、それに変わりがなかったのでありました。

太郎は、ある日、家の前に立って、頭の上を、カア、カア、と鳴いてゆく、からすの群れをじっと見上げていたのでした。

黒く、さおのように、一列になって、からすの群れは、西の空をさして飛んでゆきました。いちばん先のからすが、疲れると、つぎのからすが先になりました。そのからすが、すこし後れると、後のからすがいちばん先になるというふうに、なんでも、元気のいい敏捷なからすが、いちばん先頭になって、みんなを率いて、ゆくように見えたのです。

からすは、おたがいに、元気をつけあって、そして、みんなが、列から、はずれないようにしてゆきました。また、先頭のからすは、行く手にあった野原や、河や、海浜や、村や、町などにも注意を配らなければなりません。いつ、どんなものが、自分たちを狙うかわからないからです。

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