風船球の話
本文約3,000字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
空への憧れを抱く風船球は、自分を縛る糸を説得し、窓から抜け出して大空へと旅立つ。しかし、高い空で自由に飛ぶうちに、共に飛ぶ糸を重荷に感じ、切り離そうと考え始める。これを知った糸は憤り、林の枝に絡みついて風船球の動きを封じてしまう。二人が姿を消した後、部屋では新しい風船球と糸が再び逃走を企てるが、戻ってきたお嬢さんに気づかれ、風船球はまりとして使われることになる。空に留まる球と地上で遊ぶ球の対比が描かれる。
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風船球は、空へ上がってゆきたかったけれど、糸がしっかりととらえているので、どうすることもできませんでした。
小鳥が、窓からのぞいて、不思議そうな顔つきをして、風船球をながめていました。
「小鳥さん、おもしろいことはありませんか。」と、風船球はたずねました。
「おもしろいことですか、それはたくさんありますよ。いま、あちらの町の上を飛んできますと、にぎやかな行列がゆきました。お祭りがあるのでしょう……。また、あちらの港へは、大きな汽船がきて泊まっています。それは、りっぱな船でした。これから、私は、もっとおもしろいことをさがそうと思っているところです。」と、小鳥は答えたのであります。
「おお、私も、空へ上がって、自由に飛んでみたいものだ。」と、風船球は、ため息をつきました。
小鳥は、風船球が、しきりに上がりたがっているのを見てわらっていました。そのうちに、どこへか姿を消してしまったのであります。
「ああ、あのかわいらしい小鳥は、どこかへいってしまった。いっしょに旅をしたかったのに……。」と、風船球はなげいていました。
どうかして、空へ上ってみたいと風船球はなおも考えていましたが、これは、自分を捕まえている糸を説きつけるにかぎると悟りましたから、「なんで私を、そんなに苦しめるのですか。私が空へ上がったら、おまえさんもいっしょに愉快なめがされるじゃありませんか。私は、自分ひとりだけおもしろいめをしたいというのではありませんよ。」と、風船球は糸に向かっていいました。
糸は、お嬢さんのいいつけを守っているのであります。しかし、風船球が、自分ひとりで楽しむのでない、いっしょに愉快なめをしたいといったのをききますと、なるほどなと考えました。なぜなら、自分も、こうしていたのでは、いつまでたっても、おもしろいめがされなかったからです。
「いや、お嬢さんに対してすまないから、どうしても放すことはできない。」
と、糸は答えました。