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TORENDIA

ある男と無花果

本文約560字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

縁日で無花果の鉢植えを買った男は、帰路の夕立を機に友人の家へ木を預ける。数年の月日が流れ、欲深な心から木を思い出した男は、友人宅を訪ねる。そこには大切に育てられ、実をつけた立派な木があった。男はそれを持ち帰るが、時期が悪く木は枯れてしまう。自身の忘れやすさと欲望が招く、徒労に終わった顛末を描く物語である。

小川未明

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🎧 ある男と無花果 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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ある男が、縁日にいって、植木をひやかしているうちに、とうとうなにか買わなければならなくなりました。そして、無花果の鉢植えを買いました。

「いつになったら、実がなるだろう。」

「来年はなります。」と、植木屋は答えました。しかしその木は、小さくありました。

男は、それを持って帰る途中夕立にあいました。

もう、そのときは、そんな木どころではありません。木などは、どうでもよかったのです。友だちの家に頼って、雨のやむまで待って、帰りには、その無花果の鉢を預けてゆきました。

幾月も、幾年もたちましたけれど、男は、忘れたものか、友だちの家へあずけた木を取りにゆきませんでした。

しかし、この男は、なかなか欲深でありました。五、六年もたって、ふと、いつか自分は無花果の木を友だちのもとにあずけておいたことを思い出しました。さっそく取りにゆきました。

「あなたが、きっと取りにおいでなさると思って、大事に育てておきました。」と、その家の人はいって、裏庭に案内しました。

大きな無花果の木に、実がいっぱいなっていたのです。男は、驚きました。かつ当惑しました。しかたがなく、掘って、車に載せて帰りました。

しかし、それは、木を移す時期でなかったので、実もしなびてしまえば、木も枯れてしまいました。

けっきょく、男は、ほねおり損に終わったわけです。

完

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