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TORENDIA

きんまくわ

本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

たんぼの上を飛び回るつばめは、毎朝作物たちに挨拶をして回る。ある朝、畑でなすの体に蔓を巻きつけて苦しめるきんまくわの姿を目の当たりにする。とうもろこしが注意をしても、きんまくわは耳を貸さず、さらになすやとうもろこしへ執拗に蔓を広げていく。つばめは困り果てた作物を眺めることしかできず、やがて作物の身勝手な振る舞いが畑に騒動を引き起こす様子と、その結果たどる運命を描く。

槇本楠郎

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🎧 きんまくわ / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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つばめは、まいあさ早く、すずしいたんぼの上へ、ツーイ/\ととんで来ました。そして身がるさうに、ななめにとんだり、クルリとひつくりかへつたり、作物の頭とすれすれにとんだりして、目をさましたばかりの作物に、かう挨拶していきました。

「みんな、おはやう。かはつたことはありませんか?」

すると、朝露にぬれた作物たちは、みんな顔をあげて、つばめに挨拶しました。

「つばめさん、おはやう。かはつたことはありません。」

作物たちは、自分の新芽や葉を食べるわるい虫を、みんな、つばめにとつてもらつてゐたのです。だから、まいあさつばめが見まはりに来ると、かう挨拶してゐたのです。

ところが、ある朝、つばめがツーイ/\と、とんで来て見ますと、畑のまん中で、作物たちの、喧嘩がはじまつてゐました。よく見るとそれは、なすときんまくわとでした。

「らんばうぢやありませんか。ひとの体に蔓をまきつけるなんて。さあ早く、その手をはなして下さい。わたしは苦しくつて、息がきれさうです。ねえ、早くはなして下さい。」さう云つてゐるのは、顔のまつ黒い、脊の低い、なすでした。

「だつて、ぼくは蔓があるんで、ブラ下つてみたくてたまらないんだ。へちまのやうに高いところにブラ下つて、すずしい風にふかれてみたいんだ。ぼくは体が金色だから、へちまやひようたんより、とてもきれいなんだ。だい一、きみがこんなところにゐるから、いけないんだ。強さうな体のくせに、ケチ/\云ふもんぢやないよ。」

さう云つたのは、金色の顔をした、卵のやうなきんまくわでした。きんまくわは、畑中に蔓をのばして這ひまはり、それからなすの木に、いぢ悪くまきついてゐるのでした。

なすは、泣きだしさうな声で、

「だつて、あなたは青瓜さんや、白瓜さんの仲間ですもの、地面をはふだけで、いいぢやありませんか。わたしにまきつくなんて、あんまり、ひどいぢやありませんか。わたしは、竹や棒ではありません。早くはなして下さい。ああ、くるしくつてたまりません。」

けれど、いぢわるのきんまくわは、はなすどころか、グイグイと、一そうなすの体に、青い蔓をグルグルまきつけてしまひました。

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