石段に鉄管
本文約2,600字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
秋の夕暮れ、疲労困憊して町を目指す貧しい母親と二人の幼い息子は、大きな屋敷の石段で休息をとる。しかし、住人の男に乞食と蔑まれて追い払われ、三人は暗い夜道へと再び歩き出す。町への道中、三人は冷たい鉄管が転がる暗い建物の影に座り込む。明るい場所ではまた怒鳴られることを恐れる母と兄に対し、弟は町に輝く明かりを求めて駄々をこねる。冷え切った暗闇の中で、三人の足取りと心は重く沈んでいく。
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秋の暮れ方のことであります。貧しい母親が二人の子供をつれて、街道を歩いて、町の方へきかかっていました。二人の子供は男の子でした。上が十一ばかり、そして、下は、まだ八つか、九つになったばかりであります。
彼らはどこからきたものか、疲れていました。ことに二人の子供は足がくたびれたとみえて、重そうに足を引きずっていました。
兄のほうは、それでも我慢をして、先になって歩いていました。弟のほうは、母親のたもとにすがったり、その体をまわったりして、ときどき、黙って歩いている母親の顔を仰いで、苦痛を訴えるのでした。
「ああ、もうすこしいったら、休ましてやるよ……。」と、母親はいいました。
三人は、あまり、おそくならないうちに、町へはいりたかったのでありましょう。しかし小さな子供は、足が痛んで、どこででもいいから休みたかったのです。
街道をいくと、傍に大きな屋敷がありました。道からすこしく高いところに、その家は建てられていたのでした。そして、石段が通り道から、そこまでついていました。石の上は白く乾いて、しめった黒っぽい土の面から浮き出ていました。
「ここへ腰かけて、休んでいきましょう……。」
哀れな母親は、二人の子供を見まわしていいました。そこで母親を真ん中にして、兄は左に、弟は彼女の右に腰をかけたのであります。