TRENDIA CLASSIC

石段に鉄管

小川未明

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秋の暮れ方のことであります。貧しい母親が二人の子供をつれて、街道を歩いて、町の方へきかかっていました。二人の子供は男の子でした。上が十一ばかり、そして、下は、まだ八つか、九つになったばかりであります。

彼らはどこからきたものか、疲れていました。ことに二人の子供は足がくたびれたとみえて、重そうに足を引きずっていました。

兄のほうは、それでも我慢をして、先になって歩いていました。弟のほうは、母親のたもとにすがったり、その体をまわったりして、ときどき、黙って歩いている母親の顔を仰いで、苦痛を訴えるのでした。

「ああ、もうすこしいったら、休ましてやるよ……。」と、母親はいいました。

三人は、あまり、おそくならないうちに、町へはいりたかったのでありましょう。しかし小さな子供は、足が痛んで、どこででもいいから休みたかったのです。

街道をいくと、傍に大きな屋敷がありました。道からすこしく高いところに、その家は建てられていたのでした。そして、石段が通り道から、そこまでついていました。石の上は白く乾いて、しめった黒っぽい土の面から浮き出ていました。

「ここへ腰かけて、休んでいきましょう……。」

哀れな母親は、二人の子供を見まわしていいました。そこで母親を真ん中にして、兄は左に、弟は彼女の右に腰をかけたのであります。

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