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TORENDIA

海の踊り

本文約3,400字 ・ 読了時間 約7分

あらすじ(AIが作成しました)

荒れる日本海を見つめ、かつて自分を助けてくれた漁師の若者・英吉の帰りを案じてほえ続ける松の木。一方、海の神々は嵐の中で舞踏会を開き、英吉の乗る船を飲み込もうとする。しかし、自然への謙遜と祖母や花への慈しみを抱く若者の祈りに触れた女神が動く。嵐の渦中に残された小さな船と、港で帰りを待ちわびる人々、そして崖の上でただ一人祈り続ける松の木が織りなす、海に生きる者たちの懸命な姿を描く物語である。

小川未明

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🎧 海の踊り / 朗読音声: VOICEVOX:波音リツ

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日本海の荒波が、ドドン、ドドンといって岸を打っています。がけの上に、一本の松の木が、しっかり岩にかじりついて、暗い沖をながめて、嵐にほえていました。

そこへ、どこからともなく、紅い、いすかが飛んできて、松の木にとまりました。

「松の木さん、なんで、そんなに腹だたしそうにどなっているのですか?」といいました。

松の木は、頭の毛を逆立て、いまにも岩からはなれて、沖の方へ飛んでゆきそうな、いらだたしげなようすをしながら、

「まだ、あの船が見えないからだ……。」と答えました。

いすかには、ただ、それだけ聞いたのでは理由がわからなかった。

「あの船って、どんな船ですか。それにはだれか、あなたのお知り合いの方でも乗っているのですか。」と聞きました。

ぶっきらぼうの松の木は、いすかにくどくど聞かれるのを好きませんでした。なぜなら、自分の心配をひとに話したって、どうなるものでもなく、また、それにかかわりのない他人が聞いても、なんのためにもなるものでないと思われたからです。で、この小鳥を枝から振り落としてしまおうかと思ったが、黒い目をした、りこうそうな顔つきを見ると、そうもできなく、松の木は、ありのままの話をして聞かせました。

「英吉という、若者の乗っている船が、二、三日前に沖へ出たが、まだもどってこない。それに、海はこのような嵐なのだ。あの高い浪を見るがいい。どんなに、強いきかぬ気の若者でも、これを乗り切ることはできまい。おれはそう思うと気が気でなく、こうして、夜となく、昼となくほえているのだ。」と、松の木は、いいました。

紅い、いすかはしっかりと、小枝につかまって、耳を傾けて聞いていたが、

「その若者とあなたとは、どんな関係があるのですか?」とたずねました。

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