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TORENDIA

三つのお人形

本文約5,400字 ・ 読了時間 約11分

あらすじ(AIが作成しました)

人形屋の店先に並んでいた三つの美しい女の人形は、別々の人の手に渡り離れ離れになる。外国人に買われた座った人形、娘に買われた立った人形、そして露店を転々とする踊る人形は、街燈や電気スタンドを通じて互いの消息を知る。本作は、三体それぞれが辿る数奇な運命と、離れていても相手を想い合う人形たちの心情を軸に、変化する環境の中で生きる彼らの様子を描く物語である。

小川未明

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🎧 三つのお人形 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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一

外国人が、人形屋へはいって、三つ並んでいた人形を、一つ、一つ手にとってながめていました。どれも、同じ人形師の手で作られた、魂のはいっている美しい女の人形でした。

一つは、すわっていましたし、一つは立っていました。そして、もう一つは、手をあげて踊っていたのであります。

どれを買ったらいいだろうかと、その外国人は、ためらっていましたが、しまいに、つつましやかにすわっているのを買うことにしました。それを箱にいれてもらうと、大事そうにして、店から出ていってしまいました。

残った、二つの人形は、たがいに顔を見合わせました。そして、そばに、だれもいなくなると、お話をはじめたのです。

「とうとう、あの方は、いってしまいましたね。」

「わたしたちは、いつまでもいっしょにいたいと思いましたが、だめでした。このつぎには、だれが先にお別れしなければならないでしょうか……。」

二つの人形は、心細そうにいいました。しかし、こうなることはわかっていたのです。美しい、三つの人形が、はじめて、このにぎやかな街の店さきにかざられたとき、通る人々は、男も、女もみんな振り向いてゆきました。きれいなお嬢さんや、奥さまたちまでが、うっとりと見とれてゆきました。人形は、世の中に、自分たちほど、美しいものはないと思うと鼻が高かったのです。そして、だれでもが、にこやかな顔つきで、やさしい目をして自分たちをながめますので、どこへいってもかわいがられるものと考えました。

「どんな人に、わたしは、つれられてゆきますかしらん。」と、三つの人形は、口々にいって、行く末のことを空想しますと、なんとなく、この世の中が、明るく、かぎりなく楽しいところに思われたのでした。

「どこへいっても、おたがいの身の上を知らせ合って、おたよりをしましょうね。」と、お人形たちは、いったのでした。いま、二つになりました。

「あの方は、外国へつれられてゆくのでしょうか。」と、踊りながら、一つの人形は、立っている人形にいいました。

「そうかもしれません。わたしは、外国へなど、ゆきたくないものです。けれど、あの方は、おとなしいから、どこへいってもかわいがられると思います。」

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