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TORENDIA

二笑亭綺譚

本文約2,100字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

二笑亭は、狂者の創作でありながらも独創的な構造や装飾を備えた天下の奇屋である。精神病学者の式場隆三郎は、自身の専門的知見と美への関心から、この奇妙な建築物の記録を丹念に綴る。本作は、既に失われた建築の面影を写真と言葉で後世に伝えるとともに、狂者の創作に見られる潜在的な能力の突如とした発露や閃きを分析し、人間本来の想像力の可能性を考察する一冊である。

柳宗悦

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🎧 二笑亭綺譚 / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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式場君には色々の著書がある。其の中で一番式場君の本分がよく現れているのは、此の一書であると思う。他の著作に比して寧ろ短い一篇ではあるが、始めから終りまで材料がよくこなされていて、定めし著者にとっても会心の一書ではないかと思う。嘗て出た画家ゴオホ伝も大著であるが、それは今迄世に出た多くの評論の集大成であった。併し此の著書は凡て式場君自身のもので、謂わば創作的価値に於て更に優れたものと思える。第一題材が斬新であるのみならず、全く打手附けのものであった。式場君は精神病学が専攻であり、一方いつも美の世界に心を惹かれている。実に此の二つのものが結び合ったのが此の題材である。だから著者は其の叙述に於て、充分専門家的であり、兼ねて又文学的である。恐らく式場君にとって之れ以上好箇の材料はなく、又二笑亭にとっても此の著者以上の解説者は得られないであろう。之で式場君の仕事が益々活かされ、又二笑亭も始めて其の存在を得たとも云える。そのせいか文章も内容も書きぶりも、活々して淀みがない。式場君の書く多くのものの中で、近頃一番心をそそられたものの一つである。かかる印象を受けるのは恐らく私一人ではあるまい。誰でも引きずられて、一気に読み終るであろう。而も内容から云って、決して一時の読み物ではなく、凡ての精神病学者や又は美術家達から、折ある毎に引照される本となろう。兎も角異常な題材への優れた記録で、珍しい書物と云わねばならない。まして其の実物が毀された今日、此の著作のみが其の価値を代弁する。嘗て雑誌に出たものがここに増補され、一冊の単行本にまとめられたことは祝福に堪えない。

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