TRENDIA CLASSIC

思想議会たるを知れ

戸坂潤

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第七十議会の問題となるべきものは数限りがない。元来ならば議会では議員側から積極的な法案が続々提出されて然るべきものだ。特に無産政党にとっては各種社会立法の提案に事は欠かない筈である。日本の政府程社会政策に就いて量質ともに無関心なものはないからである。従来の傾向から見ると各種社会立法は必ず政府案として、又は政府案にひき直されて、提出されるのを常とする。その結果社会立法は名目上社会立法でも、実質は寧ろ民衆抑制の立法である場合の方が多いということになる。それで、無産政党は先手を打って、独自の立法案を具体化して肉迫しなければならない筈なのである。

だが最近の議会の事情は必ずしもそういう余裕を与えていないようだ。政府は社会政策上の予算などを考慮する余地のない程の、国防中心予算を編成して、議会に臨んでいる。議会は社会政策的予算の要求どころではない、いかにして国防費過大の予算案に対して太刀打ちすべきかという点に、腐心せざるを得ないような次第だ。この点から云うと、今度の議会は全く、対政府防衛の議会であって対政府嚮導の議会ではない。

国防費が如何に莫大になろうと、それ自身は、国家財政学上の議論は別として、直接国民にとっては少しもマイナスではない。問題は勿論、国防費の過大が国民生活の安定に決定的な影響を与える危険がありはしないかという処にあるのである。そしてこの影響は今回の大衆増税案となって、誰の目から見ても疑うべからざる姿を取って、現われて来たのだ。流石人のよい国民達も、初めて国防費の過大ということが国民にとって何を意味するかに気がついて来た。そこでこの問題を政党はどう取り扱おうとするか。

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