TRENDIA CLASSIC
朝鮮の友に贈る
書
柳宗悦
1 / 21
私の知れる、または見知らぬ多くの朝鮮の友に、心からのこの書翰を贈る。情の日本は今かくするようにと私に命じている。私は進み出て、もだし難いこの心を貴方がたに話し掛けよう。これらの言葉が受け容れられる事を、私はひそかに信じたい。もしこの書を通して二つの心が触れ得るなら、それはどんなにか私にとっての悦びであろう。貴方がたもその淋しい沈黙を、私の前には破ってほしい。人はいつも心を語る友を求めている。特に貴方がたの間においては、人間の愛が心の底から求められているのだと、私は想う。かく想う時、どうして私はこの訪れを果さずにいられよう。貴方がたもこの書翰を手にして、私に答える事を躇っては下さらぬであろう。私はそれを信じたい。
[#改ページ]
一
私はこの頃、ほとんど朝鮮の事にのみ心を奪われている。何故かくなったかは私には説き得ない。どこに情を説き得る充分な言葉があろう。貴方がたの心持ちや寂しさを察する時、人知れぬ涙が私の眼ににじんでくる。私は今貴方がたの運命を想い、顧みてまたこの世の不自然な勢いを想う。あり得べからざる出来事が目前に現れている。私の心は平和ではあり得ない。心が貴方がたに向う時、私も共に貴方がたの苦しみを受ける。何ものか見知らぬ力が私を呼ぶように思う。私はその声を聞かないわけにはゆかぬ。それは私の心から人間の愛を目覚ましてくれた。情愛は今私を強く貴方がたに誘う。私は黙してはいられない。どうして貴方がたに近づく事がいけないのであろう。親しさが血に湧き上る時、心は心に話し掛けたいではないか。出来得るなら、私は温かくこの手をさえさし出したい。かかることはこの世において自然な求めだと、貴方がたも信じて下さるだろう。
柳宗悦の他の作品
TRENDIA CLASSIC
赤絵鉢
柳宗悦
赤絵鉢
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
雲石紀行
柳宗悦
雲石紀行
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
思い出す職人
柳宗悦
思い出す職人
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
小鹿田窯への懸
念
柳宗悦
小鹿田窯への懸念
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
沖縄の思い出
柳宗悦
沖縄の思い出
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
樺細工の道
柳宗悦
樺細工の道
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
北九州の窯
柳宗悦
北九州の窯
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
京都の朝市
柳宗悦
京都の朝市
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
現在の日本民窯
柳宗悦
現在の日本民窯
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
雑器の美
柳宗悦
雑器の美
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
台湾の民藝につ
いて
柳宗悦
台湾の民藝について
柳宗悦
TRENDIA CLASSIC
全羅紀行
柳宗悦
全羅紀行
柳宗悦