TRENDIA CLASSIC

朝鮮の友に贈る書

柳宗悦

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私の知れる、または見知らぬ多くの朝鮮の友に、心からのこの書翰を贈る。情の日本は今かくするようにと私に命じている。私は進み出て、もだし難いこの心を貴方がたに話し掛けよう。これらの言葉が受け容れられる事を、私はひそかに信じたい。もしこの書を通して二つの心が触れ得るなら、それはどんなにか私にとっての悦びであろう。貴方がたもその淋しい沈黙を、私の前には破ってほしい。人はいつも心を語る友を求めている。特に貴方がたの間においては、人間の愛が心の底から求められているのだと、私は想う。かく想う時、どうして私はこの訪れを果さずにいられよう。貴方がたもこの書翰を手にして、私に答える事を躇っては下さらぬであろう。私はそれを信じたい。

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私はこの頃、ほとんど朝鮮の事にのみ心を奪われている。何故かくなったかは私には説き得ない。どこに情を説き得る充分な言葉があろう。貴方がたの心持ちや寂しさを察する時、人知れぬ涙が私の眼ににじんでくる。私は今貴方がたの運命を想い、顧みてまたこの世の不自然な勢いを想う。あり得べからざる出来事が目前に現れている。私の心は平和ではあり得ない。心が貴方がたに向う時、私も共に貴方がたの苦しみを受ける。何ものか見知らぬ力が私を呼ぶように思う。私はその声を聞かないわけにはゆかぬ。それは私の心から人間の愛を目覚ましてくれた。情愛は今私を強く貴方がたに誘う。私は黙してはいられない。どうして貴方がたに近づく事がいけないのであろう。親しさが血に湧き上る時、心は心に話し掛けたいではないか。出来得るなら、私は温かくこの手をさえさし出したい。かかることはこの世において自然な求めだと、貴方がたも信じて下さるだろう。

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