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TORENDIA

黒部峡谷

本文約12,700字 ・ 読了時間 約26分

あらすじ(AIが作成しました)

飛騨山脈を成す立山山脈と後立山山脈の地質学的特徴や地形、およびその間を流れる黒部川が生み出す雄大な峡谷の様子を綴る。著者は両山脈を構成する花崗岩類や地殻変動による断層の形成過程に触れ、険しい岩壁や激流が織りなす地形の特異性を分析する。あわせて、この地域を遡行する際の困難さや危険性、そして登山者に求められる高度な経験と準備について詳述し、黒部峡谷が持つ自然の造形美とその厳しさという二面性を専門的な視点から描き出す。

木暮理太郎

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立山山脈と後立山山脈

地質学者の説に拠ると、今日普通に日本北アルプスの名で広く世に知られている飛騨山脈は、凡南十度西より東十度北即ち南南西から東北東に向って並走して居る数条の連脈から成っているということである。さもあらばあれ高い山のみを渇仰の標的として、峰から峰へと縦走する気儘な山岳の巡礼は、勝手に是等の山脈を二にも三にも胴切にして、低い山はそれが主脈であっても、草鞋の先に突懸った石ころのように惜気もなく投げ棄て、高い尾根と尾根とを都合の好いように接ぎ合せたり結び付けたりして、出来るだけ高いそして出来るだけ長い山脈にしようとする。私がここに立山山脈といい後立山山脈というのも、少しは斯うした勝手な真似がしてあることを断って置きたい。

槍ヶ岳の西の肩から北西に曳いた西鎌尾根が、其名の如く薄っぺらな山稜の上に、目まぐるしい程多くの岩の瘤を突起させているのに反して、同じ尾根続きでありながら、双六岳や其北の蓮華岳一名三俣岳は、幅の広いそして丸味を帯びた穏かな山容と変っている。ぐるり周囲を取り巻いた壮年期の山岳の中に在りて、此二山を中心とせる附近の地貌は、のんびりした気持で頂上を歩いている登山者に、或は山がまだ幼年期にさえ達していないのではあるまいかとの感を抱かせるのも面白い。飛騨山脈の主脈はこの蓮華岳から釵の股のように二つに岐れて、東と西とに対峙した高大な連嶂が相並行して南北の方向に長く続いている、西に在るのが立山山脈で、東に在るのが後立山山脈である。

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