サーカスの怪人
本文約74,900字 ・ 読了時間 約150分
あらすじ(AIが作成しました)
世田谷区で骸骨の顔をした謎の紳士に遭遇した少年探偵団の井上と野呂は、恐怖を感じながらもその正体を探るため追跡を開始する。怪しい行動を見せる骸骨男は、やがて大型サーカスへと潜入する。明智小五郎らの協力を得て、少年たちはこの謎の怪人の行方を追い、警察と共に町中で緊迫の追跡と捕縛劇を繰り広げる。本作は、少年探偵たちが怪人と対峙する冒険を描く物語である。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
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骸骨紳士
ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎君とノロちゃんとが、世田谷区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが井上君を送っていくところです。
ノロちゃんというのは、野呂一平君のあだなです。ノロちゃんは団員のうちでいちばん、おくびょうものですが、ちゃめで、あいきょうもので、みんなにすかれています。
井上一郎君は、団員のうちで、いちばんからだが大きく、力も強いのです。そのうえ、おとうさんが、もと拳闘選手だったので、ときどき拳闘をおしえてもらうことがあり、学校でも、井上君にかなうものは、ひとりもありません。その大きくて強い井上君と、小さくて弱いノロちゃんが、こんなに仲がよいのはふしぎなほどでした。
ふたりは、両側に長いコンクリートべいのつづいた、さびしい町を歩いていますと、ずっとむこうの町かどから、ひとりの紳士があらわれ、こちらへ歩いてきました。ねずみ色のオーバーに、ねずみ色のソフトをかぶり、ステッキをついて、とことこと歩いてくるのです。
二少年は、その人のすがたを、遠くから、ひと目みたときに、なぜかゾーッと身がちぢむような気がしました。むこうのほうから、つめたい風が吹いてくるような感じで、からだが寒くなってきたのです。
しかし、夕ぐれのことですから、その人の顔は、まだ、はっきり見えません。ふたりは、そのまま歩いていきました。紳士と二少年のあいだは、だんだん近づいてきます。そして、十メートルほど近よったとき、やっと、紳士の恐ろしい顔が見えたのです。
ノロちゃんが、「アッ!」と、小さい叫び声をたてました。井上君は、それをとめようとして、グッと、ノロちゃんの腕をつかみました。