TRENDIA CLASSIC
サーカスの怪人
江戸川乱歩
1 / 89
骸骨紳士
ある夕がた、少年探偵団の名コンビ井上一郎君とノロちゃんとが、世田谷区のさびしいやしきまちを歩いていました。きょうは井上君のほうが、ノロちゃんのおうちへ遊びにいったので、ノロちゃんが井上君を送っていくところです。
ノロちゃんというのは、野呂一平君のあだなです。ノロちゃんは団員のうちでいちばん、おくびょうものですが、ちゃめで、あいきょうもので、みんなにすかれています。
井上一郎君は、団員のうちで、いちばんからだが大きく、力も強いのです。そのうえ、おとうさんが、もと拳闘選手だったので、ときどき拳闘をおしえてもらうことがあり、学校でも、井上君にかなうものは、ひとりもありません。その大きくて強い井上君と、小さくて弱いノロちゃんが、こんなに仲がよいのはふしぎなほどでした。
ふたりは、両側に長いコンクリートべいのつづいた、さびしい町を歩いていますと、ずっとむこうの町かどから、ひとりの紳士があらわれ、こちらへ歩いてきました。ねずみ色のオーバーに、ねずみ色のソフトをかぶり、ステッキをついて、とことこと歩いてくるのです。
二少年は、その人のすがたを、遠くから、ひと目みたときに、なぜかゾーッと身がちぢむような気がしました。むこうのほうから、つめたい風が吹いてくるような感じで、からだが寒くなってきたのです。
しかし、夕ぐれのことですから、その人の顔は、まだ、はっきり見えません。ふたりは、そのまま歩いていきました。紳士と二少年のあいだは、だんだん近づいてきます。そして、十メートルほど近よったとき、やっと、紳士の恐ろしい顔が見えたのです。
ノロちゃんが、「アッ!」と、小さい叫び声をたてました。井上君は、それをとめようとして、グッと、ノロちゃんの腕をつかみました。
江戸川乱歩の他の作品
TRENDIA CLASSIC
指環
江戸川乱歩
指環
江戸川乱歩 ・ 約7分
TRENDIA CLASSIC
赤いカブトムシ
江戸川乱歩
赤いカブトムシ
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
悪霊物語
江戸川乱歩
悪霊物語
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
赤い部屋
江戸川乱歩
赤い部屋
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
「悪霊物語」自
作解説
江戸川乱歩
「悪霊物語」自作解説
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
悪霊
江戸川乱歩
悪霊
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
一枚の切符
江戸川乱歩
一枚の切符
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
暗黒星
江戸川乱歩
暗黒星
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
偉大なる夢
江戸川乱歩
偉大なる夢
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
悪魔の紋章
江戸川乱歩
悪魔の紋章
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
一寸法師
江戸川乱歩
一寸法師
江戸川乱歩
TRENDIA CLASSIC
江川蘭子
江戸川乱歩
江川蘭子
江戸川乱歩