天空の魔人
本文約23,700字 ・ 読了時間 約48分
あらすじ(AIが作成しました)
長野県の矢倉温泉を訪れた少年探偵団の小林団長と団員の井上、野呂は、雲の上から現れる巨人の腕が物を掴み去るという奇妙な噂を耳にする。村では美術品を積んだ貨物列車が消失する事件も発生し、警察も手出しができない状況が続いていた。三人は現地で出会った怪しい東京からの来客を注視し、小林の機転と冷静な観察眼によって、巨人の腕の噂を利用した組織的な美術品窃盗団の正体へと迫っていく。
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雲の上の怪物
少年探偵団の小林団長と、団員でいちばん力の強い井上一郎君と、すこしおくびょうだけれど、あいきょうものの野呂一平君の三人が、春の休みに、長野県のある温泉へ旅行しました。
その温泉を、仮に矢倉温泉と名づけておきましょう。国鉄から私設鉄道にのりかえて、矢倉駅でおり、すこし山道をのぼると、そこに、温泉村があります。山にかこまれた、けしきのよい温泉です。
その温泉のトキワ館という旅館の主人が、井上君のおじさんなので、小林団長と野呂君をさそって、五日ほど滞在する用意でやってきたのです。
井上君のおとうさんは、もとボクシングの選手だったので、井上君も、ときどきボクシングをおそわることがあります。生まれつきからだが大きくて力が強いうえに、ボクシングの手まで知っているのですから、学校でも、だれも井上君にかなうものはありません。
野呂一平君は、ノロちゃんというあだなでよばれていますが、からだの動かしかたがのろいわけではありません。なかなか、すばしっこいのです。しかし、やせっぽちで力もなく、そのうえ、すこし、おくびょうなのです。
そんなおくびょうものが、どうして少年探偵団にはいったかといいますと、ノロちゃんは、小林団長を、ひじょうに尊敬しているので、どうしてもはいりたいといって、きかなかったからです。小林君も、ノロちゃんがすきですし、おくびょうだけれどもすばしっこいのと、だれにもすかれる、あいきょうものなので、団員に入れることにしたのです。
三人がトキワ館につきますと、井上君のおじさんや、おばさんは「よくきた、よくきた。」といって、ひじょうに、かんげいしてくれました。
トキワ館のそばに、岩をくんだ野天ぶろがあります。三人はまずそこへはいって、およいだり、お湯のかけっこをやったり、大はしゃぎをしたあとで、部屋にもどって、おいしい夕食をたべました。
そのとき、おきゅうじをしてくれたのは、よくしゃべる女中さんで、いろいろ話してくれましたが、そのうちに、みょうなことをいいだしたのです。