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TORENDIA

アラスカの氷河

本文約10,800字 ・ 読了時間 約22分

あらすじ(AIが作成しました)

アラスカの氷河は壮大な景観で知られ、近年は航空路の開通により一般の目にも触れる。特に海岸沿いのものは巨大な氷の断崖が海へ崩落する光景を見せる。マラスピーナ氷河では、広い氷原上に黒い堆石が線条となって流れる墨流しのような模様が観察される。また、アラスカの氷河から採取される巨大な氷の単結晶は、その透明性と融点の低さから、金属の物性研究における優れた実験資料として活用される。

中谷宇吉郎

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アラスカ氷河の特徴

アラスカの氷河は、景観の美しさという点では、世界第一といわれている。

氷河の壮大な美しさは、ずっと昔から、文学者や地理学者たちの讃美の的であった。もっとも、近年までは、一般の人々が近づき得る氷河は、ほとんどアルプスの氷河に限られていた。それで氷河の美についての文献は、主として、アルプスの氷河についてのものが多かった。

しかし氷河は、アルプスに限られたものではない。ヒマラヤやその周辺、いわゆる世界の屋根には、もっと壮大な氷河が、いくらもある。その外にも、南極大陸や、北極圏内のグリーンランドおよび、カナダ群島の北氷洋岸には、ヒマラヤをしのぐ壮麗な氷河が、たくさんある。

これらの氷河の景観は、世人の想像をはるかに絶するもので、自然のふところに秘められた天工の美と、規模の壮大さとを、如実に示すものである。しかしその美に驚嘆することは、一般の人々にはできない。それは、現在のところはまだ、ごく少数の探検家たちだけが享受し得る天恵である。

十年前までは、アラスカの氷河も、この部類に属していた。しかし定期航空路が、アラスカの沿岸に開かれた今日では、アラスカの氷河は、もはや探検家たちだけのものではなくなった。北方航空路をとる一般旅行者の眼にもふれるものとなった。

アラスカの氷河の代表的なものは、太平洋岸にある。アンカレージから、海岸にそって、カナダの方へ伸びた海岸地帯がそれである。この氷河の特徴は、氷河の末端が、海岸のすぐ近くにまで達している点にある。そしてそのうちのかなりのものは、直接海に流れ入っている。

先年、ディズニイの映画で、氷河が崩壊して、海へ落ち込む場面を見せてくれたものがあった。氷河の末端は、三十メートルを越す氷の断崖となって、大洋に迫っている。北海の荒浪は、その氷の絶壁の根を噛んで、はげしく飛沫を散らしている。

この白い絶壁は、如何にも千古の懸崖の如き様相を呈しているが、しばらく見ているうちに、上部の方に、徐々に縦の割れ目が入り、やがて絶壁の一部は、数百個の氷の大塊に割れて、海に崩れ落ちる。まさに息をのむばかりの壮烈な景観であった。

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