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TORENDIA

井戸

本文約1,300字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

明治六年の九十九里。九歳の少年は、いたずらで持ち出した小刀を家の井戸に落としてしまう。叱責を恐れた少年は、小刀の回収を試みる。深い井戸の底から小刀を吊り上げるため、竹竿と糸、古釘を用いて独自の道具を考案する。少年は自らの創意工夫で見事に小刀を引き上げ、無邪気な達成感を得る。本書は、郷里での幼少期の記憶と、井戸にまつわる忘れがたい体験を綴る随筆である。

伊藤左千夫

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🎧 井戸 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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吾郷里九十九里辺では、明治六年に始めて小学校が出来た。其前年は予が九つの年で其時までも予は未だ学文ということに関係しない。毎日々々年配の朋輩と根がらを打ったり、独楽を打ったり、いたずらという板面を仕抜いていた。素裸で村の川や溝へ這入っては、鮒鰌をすくったり、蛙を呑んでいる蛇などを見つけては、尻尾を手づかみにして叩き殺す位なことは、平凡ないたずらの方であった。又たまにはやさしい遊びに楽しかったこともある。少し大きい女の子などにつれられて餅草を摘みにゆく。たんぽぽの花を取ったり、茅花を抜いたり、又桑を摘みに山へつれられて行ってはシドミの花を分けて根についてある実を探したり、夢の様に面白かったことは、何十年という月日を過ぎても記憶に存している。其いたずら童子に失敗的逸事が一つあって、井戸に関した事であるから書いて見よう。

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