TORENDIA
寫生斷片
長塚節
TORENDIA
寫生斷片
本文約3,000字 ・ 読了時間 約7分
あらすじ(AIが作成しました)
小春日和の岡の畑で百姓たちが芋を掘る光景を起点に、筑波山や鬼怒川を望む郷土の田野の移ろいと、そこに生きる人々の営みを丹念に描写する。本作は、自然を愛する著者が郷里の風景を写生した文章の断片であり、客観的な情景描写を通して、変化する季節の情緒や働く人々の素朴な姿を綴る。自然の微細な変化を捉え、文章を通じて読者にその美しさを伝えることの意義と、写生に志す者への指針を論じる。
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余は天然を酷愛す。故に余が製作は常に天然と相離るゝこと能はず。此に掲ぐるものは長き文章の一部にして我が郷の田野の寫生なり。一は其冐頭にして二は其結末なり。素より斷片なり、一篇の文章としては見るべからず。余は近時本誌の文章の天然描寫の一段に於て多大の進境を認むると共に喜悦の念禁ぜざるものあり。天然必しも悉く美なるに非ず。然れども他の美ならずとする處のものを以て自らは之を美なりと感ずるに何の妨かあらむ。而して自ら感じたる處を極力文字に現はす時直ちに讀者を醉はしむことを得べし。これ文章の力なり、否感情の尊き所以なり。余が此の寫生の如きは極めて拙なるものなりと雖天然描寫に志す諸君の爲めに多少の參考たるべきを信ず。併せていふ、余は本誌過去一年間の製作品に就いて及び文章に就いて余が考ふる處を述べて次號に發表せんとす。甚だ多忙ならざる限り必ず其約を履むべし。
一
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