佐渡が島
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あらすじ(AIが作成しました)
信濃川の河口から汽船で佐渡へ向かう船上の光景を綴る。泥土で黄濁した海を抜け、次第に青く横たわる佐渡島が姿を現す。著者は後甲板で小樽からの出稼ぎ帰りの若者や、越後を往来する博労と梨を噛りながら旅の道中を語り合う。昨日新潟の港で出会った梨売りの女の記憶を辿りつつ、次第に暮れゆく海上で、姫崎の灯台の光が見え始めるまでの船旅と道中の情景を描く。
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汽船はざぶ/\と濁水を蹴つて徐ろにくだる。信濃川も川口がすぐ近く見える。渺茫たる海洋がだん/\と眼前に展開する。左岸には一簇の葦の穗の茂りがあつて其先からは防波堤が屈曲して居る。葦の茂りを後にするとそれから續いた長い磯が見え出して遙かに猫の耳のやうな二つの山が兀然として聳えて居る。此は彌彦の山系である。其中腹から長い手のやうにずうつと佐渡が顯はれ出した。汽船は防波堤に隨つて屈曲して進む。防波堤の上には十人ばかり四つ手網を引いて居る。四つ手網が一杯に水を離れた時には佐渡は網の目から透きとほつ見える。汽船が沖に浮んだ時に佐渡が島も海洋の只中に悠然として青く横はつた。丁度大きな馬盥に水を一杯に汲んだのが海洋であるならば鍋蓋をそつと浮べて鍋蓋の取ツ手を横から見れば佐渡が島である。波は淺草紙を揉んでのした樣に平らである。あたりを見ると海は一面の濁りである。信濃川が泥土を溶かして間斷なく吐き出して居るので此の如く黄變したものであらうがそれにしても驚く程の濁りである。わさ/\と碎くる波は綿の如く白く飜る。其白い波にも濁つた色が見える。汽船は佐渡が島の眞ン中をさして居る。だん/\水は澄んで來る。何時の間にか猫の耳の樣な山が一つに重つて居た。振りかへるともう新潟の港はどことも分らぬ。船體が漸く動搖し始めた。