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TORENDIA

智恵の一太郎

本文約66,900字 ・ 読了時間 約134分

あらすじ(AIが作成しました)

明石一太郎は「なぜ」と「どうすれば」を筋道立てて考える習慣を持ち、周囲から「智恵の一太郎」と呼ばれている。小学校五年生のある日、池に落ちたゴムまりを物理的な工夫で回収し、友人たちを感心させる。本作は、類まれな思考力を発揮する少年が、科学的な知的好奇心を満たしながら成長していく姿を描く一連の物語の一編であり、一太郎の柔軟な発想と日常生活における賢明な行動の数々を綴る。

江戸川乱歩

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象の鼻

明石一太郎君は、学校のお友だちや近所の人から、「智恵の一太郎」というあだなをつけられていました。それは、一太郎君がとても、うまい考を出して、みんなをびっくりさせたことが、いくどもあったからです。

近所のおばさんなんかは、一太郎君を「頓智がうまい」といってほめましたが、一太郎君の智恵はただの頓智ではなくて、何でもすじみちを立てて、よく考えてみるという智恵なのです。「なぜ」ということと「どうすれば」ということを、ほかの子供たちよりも、ずっとよけいに考える気質だったのです。

昔からのえらい発見や発明はみな、この「なぜ」と「どうすれば」の二つがもとになっていることは、みなさんもごぞんじでしょう。ニュートンという学者は、「ほかの物はおちるのに、なぜ、月だけはおちないのだろう」とふしぎに思い、その「なぜ」をどこまでもどこまでも考えていって、あの「引力の法則」というものを発見したのです。

また、飛行機を一ばんはじめに考え出した人は、「どうすれば、人間も鳥のように飛べるだろうか」ということを一心に考えつめたからこそ、それがもとになって、世界に今のように飛行機時代が来たのです。「なぜ」と「どうすれば」が、私たちにとって、どんなに大切かということは、このたった二つの例を考えただけでも、よくわかるではありませんか。

一太郎君はまだ小学校の六年生ですから、そんな大学者や大発明家のような、えらい智恵はありませんが、でも、「なぜ」と「どうすれば」を考えることでは、学校のお友だちのだれにも、ひけはとりませんでした。

学科のうちでは算数と理科がとくいで、算数のむずかしい問題をといたり、理科の実験をしたり、飛行機や機関車の模型をつくったり、望遠鏡や顕微鏡をくふうしてこしらえたり、そういうことが何よりもすきで、少年発明品展覧会に、自分で考え出した模型を出品して、ごほうびをいただいたこともあるくらいです。

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