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TORENDIA

母の叫び

本文約680字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

戦場へ向かう汽車に乗せられた息子を見送る母親が、過酷な軍事徴用と貧困のなかで育て上げた我が子への慈しみと、国による理不尽な動員に対する激しい怒りと憤りを綴る。貧困ゆえに死なせてしまった兄弟の記憶や、懸命に生きて成人した息子の姿を回想しながら、命を軽んじ、庶民の生活を踏みにじる戦争の非道さを告発し、愛する息子を奪い返そうとする切実な叫びを描く。

中野鈴子

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🎧 母の叫び / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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行ってしまった

もう煙も見えない

息子を乗せた汽車は行ってしまった

剣を抜いて待ちかまえている

耳や 手足の指がくさって落ちるという

そんな寒い

戦場の×煙の中へ

息子の汽車は走って行った

生きて帰るようなことはあるまい

汽車の窓のあの泣き笑いがお

あれがあの子の見おさめなのか

親一人子一人の暮らしで

あの子は毎晩

わたしの夜具の裾をたたいてくれた

いつもやさしい笑顔で働いてくれた

ああ わたしを大事にしてくれたあの子

わたしのひとり子

物持ちの子供らは

きりきず一つ

鼻風邪一つ引いても

それ医者それ薬と大さわぎして

ふかふかとまるまると育って行ったけれど

わたしらの子供は生みっぱなし

田ノ畔を引っぱりまわすやら

ぼろくずにおしこめたりして

ひもじ泣きに死んで行った

風邪ヒキやハラをこわし 三人の子供が死んでしまった

その中で あの子だけ生きのこってくれて

あんな大きな若者に成人してくれたのだ

いまになって

戦さで死なせねばならないなんて

剣が突きさし

大砲がまい込む

おお恐ろしや

あのしゃんとした胸を

米一俵やすやすとかついだあの大きな肩

あのような二十三のからだを

おお そして

それが万歳だと

おお恐ろしや

敵も味方も命に変わりはなかろうに

旗振り上げて万歳だと

金持ちののらくら息子は座らせておいて

わたしらの子供ばかり箱づめにし

泣きすがる親きょうだいを蹴ちらして

お上の者どもは、わたしらの×されるのがうれしいのだ

平常は平常でしぼり抜き飢え死にさせ

どこまでわたしらの命をふみにじるのだ

わたしらとて命に変わりはないぞ

真っ平だ 真っ平だ

何とチョウバツしようと

命をかけて絶対×××

ああ戦場からいま直ぐに

息子とりもどしたいとりもどしたい

完

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