TRENDIA CLASSIC

かわいそうな粉ひきの若いものと小猫

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm

1 / 6

ある水車ごや(1)に、粉ひきのおじいさんが住んでいました。おじいさんのとこには、おかみさんもいず、子どももなく、若いものが三人奉公しているだけでした。この三人がここになん年かいてからのこと、ある日、おじいさんが若いものに、

「わたしも、としをとってな、ストーブのうしろへすわりたくなったよ。おまえがた、旅にでなさい。それでな、そのみやげにいちばんいい馬をもってきたものに、この粉ひき所をあげる。そのかわり、この小屋をもろうたものは、わたしを、死ぬまでやしのうてくれるのだぞ」といいました。

ところが、この若い者のうちで三番めのは下っぱのおいまわしで、あとの二人からは、わからずや扱いにされていて、これに粉ひきごやをせしめられるのは、ふたりとも感心しません。もっとも、この男のほうでも、べつに小屋をほしいともおもっていないのです。

とにかく、三人そろって旅に出たものですが、村をではずれると、兄弟子ふたりは、わからずやのハンスに、

「おまえは、ここにいるほうがよかろ。おまえなんざ、一生かかったって、駄馬一つ手にはいりゃしないよ」と言いました。そう言われても、ハンスはくっついて行きました。夜になって、三人は洞穴にたどりついたので、そのなかへはいって、ごろ寝をしました。

ちえのある二人は、ハンスがしょうたいなくねこむのを待って、自分たちだけ上へあがると、ハンスをおいてきぼりにして、どこかへ行ってしまいました。これで、二人はうまくしてやったと思ったのですが、だめ、だめ、そううまくいくわけのものではありません。

お日さまがのぼって、目をさましてみると、ハンスはどこかの深い洞あなの中にころがっていました。ハンスは、そこいらじゅうきょろきょろ見まわして、

「こりゃあ、よわった! どこにいるだあ」

と、大きな声をしました。それから起きあがると、手足をちょこまか動かしながら洞穴をはいあがって、森へはいって考えました、「おれときたら、こんなとこでほんとうの独りぼっち、だれにも相手にされやしない、どうしたら馬が手にはいるのやら」

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimmの他の作品

おいしいおかゆ
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
おくさま狐の御婚礼
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
狐と猫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
子どもたちが屠殺ごっこをした話
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
死神の名づけ親(第一話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
死神の名づけ親(第二話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
としよりのお祖父さんと孫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm
わがままな子ども
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm