本文へ移動
TORENDIA

狐と猫

本文約900字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

森で出会った猫に対し、自分は百もの術と知恵を持つと傲慢に振る舞う狐。猫は木に登る唯一の術で身を守るが、狩人の犬に囲まれた狐は多彩な術を披露する間もなく窮地に陥る。自身の生存術を過信し猫を蔑んでいた狐と、地道な術を心得ていた猫の対比を通じ、実用的な知恵の本質を対照的に描く物語。

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm

速度
🎧 狐と猫 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 2

猫が森のなかでお狐さまに行きあったことがありました。「きつねは、りこうで世慣れてる、世間でたっとばれてる」と、こう考えたので、猫は、あいそうよく狐に話しかけました。

「おきつねさま、今日は! ごきげんいかがですか、ご景気はいかがですか、せちがらい世の中になりましたが、おきつねさまは、どんなお生活をなすっておいでですか」

狐は、それはそれは威張りくさって、猫を、あたまのてっぺんから四足のさきまで、じろじろながめているだけで、なんとか返答をしてやったものかどうか、しばらくは見当がつきませんでした。やっとのことで狐の言うには、

「なにょう! きさまなんざ、ひげそうじのしみったれ野郎の、斑の、阿呆の、腹ぺこの、ねずみとりじゃねえか。なにょうかんげえたんでえ、このおれさまに向って、ごきげんいかがですかなんてぬかしゃがって、ふてえやつだ。きさま、なにをならった? きさまのできることは、いくつあるんだ?」

「わたくしにできることは、たった一つしかありません」と、猫は小さくなって答えました。

「どんなしわざだ?」と、狐がたずねました。

「犬どもがわたくしを追っかけてまいりますと、木の上へのぼって、じぶんを救うことができます」

「それっきりか」と、狐が言いました、「おれさまなんざ、できる事が百もある。そのうえ、おまけに智慧のいっぱいはいった袋をもってる。かわいそうなやつだなあ、おれについてこい、犬どもから逃げだす法をきさまにおしえてやる」

そのとき、かりゅうどが犬を四匹つれてやってきました。猫は、すばやく木の上へ跳びあがって、いく本もの太い枝やこんもりした葉が自分のからだをすっかりかくしてくれる梢へすわりこみました。

「ふくろの口をおほどきなさいな、ねえ、おきつねさま、ふくろの口をおほどきなさいな」と狐に呼びかけましたが、その時は、犬どもはもう狐をつかまえて、しっかりおさえつけていました。

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimmの他の作品

🎧
わがままな子ども
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
おいしいおかゆ
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約17分
🎧
としよりのお祖父さんと孫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
おくさま狐の御婚礼
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約6分
🎧
子どもたちが屠殺ごっこをした話
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約4分
🎧
死神の名づけ親(第一話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約9分
🎧
死神の名づけ親(第二話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約7分

同じジャンルの朗読つきの本