死神の名づけ親(第二話)
本文約2,700字 ・ 読了時間 約6分
あらすじ(AIが作成しました)
貧困ゆえに名づけ親を求める男は、平等に死をもたらす死神を息子の後見人に選ぶ。死神は息子を名医に仕立て、自身の位置で患者の生死を見極める術を授ける。医師となった息子は、死神の定めた位置を寝台の向きを変えることで欺き、瀕死の富豪や老人を救い出す。しかし、王の命を救うよう強要される窮地に陥った際、再び死神の死の宣告を覆そうとする。人間の命と死の運命を巡る駆け引きを描く。
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ある貧しい男にむすこが生まれましたが、なにしろひどい貧乏なので、名づけ親になってやろうという人が、たれひとり見つかりません。一軒一軒あるいてみましたけれど、むだぼねおりでした。そこで、ことによると、だれか通りがかりの人が気のどくに思って承知してくれるかもしれないと、そんなことを当てにして、大通へ腰をおろしました。
まもなくやってきたのは、けだかい服装をした美しい女です。びんぼう人が用事をたのんでみると、そういう御用ならやってあげましょうと、はっきりうけあってくれました。
「お名まえをおっしゃっていただきたいのですが」と、男が言いました、「あたくしは、みじめなくらしをしてはおりますが、あなたがどなたかうかがわないうちは、名づけ親になっていたただく[#「いたただく」はママ]わけにいかないので」
女は、金糸で星がいくつもぬいとりしてある面ぎぬを、ぱっとはらいのけて、
「わたしは聖母マリアです」と言いました。
「それでは、あなたには用がない」と、男がこたえました、「あなたのむすこさんは、正しいことをしない、みんなを、えこひいきなく一様にあつかうことをしない。さもなければ、わたしにしても、こんなに貧乏で、ふしあわせなはずはないのさ」
聖母はとおりすぎました。それから間もなく来たのは、また女で、せい高の、おそろしい痩せっぽち、黒い面ぎぬにつつまれていました。びんぼう人が例の用事をたのむと、女は、名づけ親になると約束しました。
「だが、あなたはどなたですか」と、男が言いました、「あたくしは他人さまからさげすまれ、なさけないくらしはしておりますが、それだと言って、あなたが正しいことをなさるかたでなければ、名づけ親にはなっていただけませんので」
「あたしは、死神だよ」
へんなかたちをしたものは、こう返事をするなり、黒いヴェールを、ぱっとうしろへはねて、かさかさにひからびた骸骨を見せました。
「あなたなら、大歓迎ですよ」と、びんぼう人が言いました、「あなたは、だれにむかっても正しいかたで、だれかれの差別なく、おんなじに扱いなさるからね。是非いらしって、せがれの洗礼をやっていただきます」