本文へ移動
TORENDIA

おくさま狐の御婚礼

本文約2,400字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

九本ある尻尾を試すために死んだふりをした古狐と、その妻である狐の物語を描く。夫が死んだと知った妻のもとへ、次々と求婚者が訪れるが、妻は亡き夫と似た特徴を持つ者以外を退ける。古狐は御婚礼の席で正体を現し妻を追い出すが、後に妻は条件を満たす若い狐との結婚を決める。本作は、再婚を望む狐の様子や、次々と現れる求婚者たちとのやり取りを、猫の案内を通じて滑稽に描写する。

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm

速度
🎧 おくさま狐の御婚礼 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

💰 この本を応援する(投げ銭)

1 / 3

一番めの話

むかしむかし、あるところに尻尾の九本ある古狐がいました。古狐は、じぶんのおくさまが心がわりしたのではないかとうたぐって、おくさまを試してみることにしました。ふるぎつねは、腰かけ台の下へ大の字なりになって、ぴくりとも動かず、まるでぶち殺された鼠のように、死んだふりをしていたのです。

おくさま狐は、じぶんのおへやへ行って、とじこもりました。おくさま狐のお女中のおじょうさん猫は、おへっついの上にすわって、ぐつぐつ、煮ものをしていました。

やがて、ふる狐の死んだことが知れわたると、おくさま狐をおよめさんにほしいという者が、いくたりも会いにきました。お女中は、だれだか、戸口に立って、こつこつと戸をたたいているのを聞きつけました。立って行って、戸をあけてみると、としの若い狐が一ぴきいて、こう言いました、

「なにしてらっしゃるの? おじょうさん猫ちゃん、

ねてらっしゃるの? おきてらっしゃるの?」

おじょうさん猫が、へんじをしました、

「あたしなら、ねてやしないわ、おきてるわ。

なにしているのか、知りたいの?

ビールをぐつぐつ煮えたてて、バタを、なかへ入れてるの、

あなた、あたしのお客になって?」

「いや、ありがとう、おじょうさん」と、狐が言いました、「おくさまぎつねは、どうしていらっしゃるの?」

お女中はへんじをしました、

「おくさま狐は、おへやにおいで、

かなしかなしと泣きはらす

かわいいお目え目は紅絹のように紅い、

お狐のふるとのさまがお逝去じゃもの」

「おじょうさん、どうかおくさまにおっしゃってください、わかい狐がまいりましたってね、その狐が、おくさまに、およめさんになっていただきたいのですってね」

「おわかさま、かしこまりました」

ぴたり、ぱたりと猫が行く、

とたん、ぱたんと戸があいた、

「おきつねおくさま、いらしって?」

「いるわよ、ねこちゃん、いることよ」

「おくさまを、およめにほしいというかたが」

「あらまあ、そうお、どんなごようす?」

「そのかたもね、おかくれになった殿さま狐みたように、黄いろいような青いようなみごとなしっぽが、九本あること?」

ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimmの他の作品

🎧
かわいそうな粉ひきの若いものと小猫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約17分
🎧
としよりのお祖父さんと孫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
子どもたちが屠殺ごっこをした話
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約4分
🎧
死神の名づけ親(第一話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約9分
🎧
死神の名づけ親(第二話)
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約7分
🎧
狐と猫
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
わがままな子ども
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分
🎧
おいしいおかゆ
ヤーコップ、ウィルヘルム・グリム Jacob u. Wilhelm Grimm ・ 約2分

同じジャンルの朗読つきの本