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TORENDIA

心得教育

本文約480字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

精神論を説く代わりに「タバコを二本続けて吸うな」といった具体的な心得を教える「心得教育」を提案し、着手の億劫を防ぐ工夫などに応用できると説く中谷宇吉郎の随筆。

中谷宇吉郎

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🎧 心得教育 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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教育にはいろいろあって、上は精神教育から下は何かあるだろうが、その下に今一つ心得教育というのを入れたらどうだろうと一寸考えてみた。それは教育方法をすべて出来るだけ卑近な心得だけに限定するのである。例えば、煙草喫みに節煙をすすめる時ならば、煙草の害と精神力の価値とを説く代りに、「二本続けて喫うことを止めろ」というふうな心得教育をするのである。胃の弱い男によく噛んで食べるように云う時にも、フレッチャーがどう云ったということを説く代りに、「飯とお菜とを一緒に口に入れぬように」という類の教育を施すのである。

こんなふうに書くと、この心得教育は、飲食の場合だけくらいにしか適用出来ないのじゃないかと思われるかもしれないが、そうばかりでもないようである。例えば着手の億劫を克服せよと云う場合ならば、「仕事を始める場合には着手の億劫という言葉のあることを忘れないで、全計画を一度机上で実行してみたまえ」というふうに云うのである。ゼームスの心理学、悲しきが故に泣くに非ず、泣くが故に悲しきなりというのなどは、早速この心得教育に応用されそうである。(昭和十一年十二月)

完

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