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TORENDIA

離婚とダイヤモンド

本文約1,100字 ・ 読了時間 約3分

あらすじ(AIが作成しました)

ネヴァダ州は沙漠が広がり、州の財源確保のために簡単な手続きで離婚できる法律を定めている。離婚を求めてこの地に滞在する夫婦は、裁判所で手続きを終えた後、自由の象徴として婚約指輪を川へ投げ捨てる。著者は、ネヴァダ大学滞在時に耳にしたこの風習を題材に、指輪を川に捨てるという行為に込められた人々の心理や、それを待ち受ける川さらいの様子を通して、当時の離婚ビジネスが盛んな社会の光景を綴る。

中谷宇吉郎

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カリフォルニア州の向う側、ネヴァダ山脈を越したところに、ネヴァダ州がある。面積はほぼ日本と同じであるが、人口わずか二十五萬人くらいしか住んでいない。全州がほとんど沙漠になっていて、それ以上は、人間の住めないところである。雨は年中ほとんど降らず、ネヴァダ山脈に冬の間に降った雪が、春先になって解けて流れ出る。その水が得られるところだけに、人間が辛うじて生活している。

そういうところであるから、地下資源が少しあるだけで、農作物などは非常に少ない。州の財源はほとんどないので、苦しまぎれに、まことに妙なことを考え出した。それは離婚業による收入を、州の財源にしようという案である。

アメリカでは、離婚が非常に多いが、法律がなかなかやかましくて、そう簡單に離婚の判決は下さない。それでネヴァダ州では、その州民は夫婦兩人のサインだけで、簡單に離婚できるという法律を作った。例えばニューヨークあたりの金持夫婦が、離婚しようという相談になったら、二人で離婚旅行にネヴァダ州へ出かける。そして州一番の都、リノの町へ着いたら、まず住民登録をする。そしてホテルで待っていると、三週間か四週間すると、ネヴァダ州の住民權が得られる。そうすると、裁判所へ行って、二人でサインするだけで、簡單に離婚が成立するのである。この滯在期間中、ホテルは豪奢なのがたくさんあり、賭博は全部公許であって、夜晝の差別なく遊べるようになっている。どうせ何もすることはないので、そういうところでじゃんじゃん金を使う。それが州の一番の「外貨獲得」なのである。

いよいよ許可の期限になると、兩人で裁判所へ行くのであるが、そのすぐ前に、ネヴァダ山脈の雪解け水が流れている川がある。ツラツキイ川といい、その橋を渡ったところに裁判所がある。ところで離婚が成立して、再びこの橋に差しかかると、夫人の中には、婚約の時に貰ったダイヤモンドの指輪を拔いて「もう私は自由になった」といって、その指輪を川に投げ込む人があるそうである。

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