三人の男がマンドビル学寮の柔らかい感じの正面にあるチュードル式の低いアーチの下から出てきて、いつ暮れるとも思えないような夏の夕方の日ざしをあびた。そしてその日ざしの中に、電光のようにはかない或る物を見た……命がけのショックと言つてもふさわしいものであつた。
この三人は、悲劇の大詰だとは夢にも思わないうちから、或る対照に気がついていた。彼ら自身は、妙に静かな点で、周囲とまつたく調和していた。学寮の庭のまわりを廻廊のように取り巻いているチュードル式のアーチは四百年前に建てられたものであつた……つまり、ゴシック建築が天から落ちてうずくまるようにかがんでしまい、ヒューマニズムと学問の復活の居心地のよい建物に変つてきたあの時代であつた――尤も建物自体は現代の外装(つまりそのみにくさには四世紀間の人がだれでもきもをつぶしそうな外装)になつていたけれど、それでもなんとなくこの学寮の精神がそれをみんな一つにまとめていた。庭はまるで手入れしてないように見えるほどみごとに手入れしてあつた……花までが、上品な雑草のように、偶然美しく見えるだけだという感じであつた。そしてその現代的外装には少なくとも乱雑から生まれ出た美しさがあつた。三人の中の先頭は、背の高い禿げ頭の、顎ひげをはやしたメイポール(五月祭に広場に立てて飾る高い柱)のような男で、帽子とガウンをつけていて、この校庭ではよく知られている姿であつた。ガウンがなで肩の一方からすべり落ちていた。二番目は大へん肩の張つた、背の低い、ひきしまつた体格の男で、かなり陽気な笑いをうかべながら、平凡な短上着を着て、ガウンを腕にかけていた。三番目は、いつそう背が低く、もつとずつとみすぼらしい男で、黒い僧衣を着ていた。しかし三人ともマンドビル学寮にふさわしいようすであつた……つまりイギリスの比類のない古い両大学の何とも言いようのない雰囲気にふさわしかつた。みんながその中にピッタリあてはまり、溶けこんでいた……それがここでは一番ふさわしく見えるのである。