古書の呪い
本文約16,100字 ・ 読了時間 約33分
あらすじ(AIが作成しました)
心霊現象を研究するオープンショウ教授は、助手や周囲を巻き込み、消滅現象の調査に執着する。ある日、謎めいた古書にまつわる事件を追う中で、常に身近にいたはずの事務員ベリッジの正体や、怪しげな宣教師プリングルの動向が絡み合い、教授の鋭い洞察力が試される。オープンショウが抱く不可解な現象への探求と、神父ブラウンがその背後にある真実を解き明かしていく過程を描く。
リクエストが集まると、作家に音声化の需要が伝わります。
💰 この本を応援する(投げ銭)
オープンショウ教授は、もしだれかに心霊主義者だとか心霊主義の信者だとか言われると、ガタンと卓を叩いて、いつもかんしやくをおこすのであつた。しかし、これだけで持前の爆発がおさまるわけではなかつた。というのはもしだれかに心霊主義の否認者だと言われても、やはりかんしやくをおこしたからである。自分の一生をささげて心霊現象を研究してきたのは彼の誇りであつた。そういう心霊現象はほんとうに心霊の現われなのかそれとも単に自然現象の現われなのかそれを自分がどう思つているかについて絶対にヒントをあたえたことがないのも彼の誇りであつた。彼にとつて何よりも楽しかつたのは、熱心な心霊主義者の輪の中に坐つて、自分がどういう風にして霊媒の正体を次々とあばき立て、インチキを次々と見つけ出したかという話を徹底的にくわしく話してきかせることであつた。というのは実際彼は、一度目的物に目をつけたら最後、ひじような探偵能力と洞察力を発揮したし、いつも霊媒には、大いに怪しい目的物として、目をつけたからである。同じ心霊主義のペテン師が三つの違つた変装をしているのを見つけたときの話がある……女になつたり真白な顎ひげの老人になつたり、濃いチョコレート色のバラモン教徒になつたりしていたのであつた。こういう話をくわしく聞かされると、ほんとうの信者たちはかなりおちつかなくなつたが、実はそれが教授のねらいであつた。しかし心霊主義者だつてインチキな霊媒の存在を否定するわけではないから、別に文句は言えなかつた。ただ、なるほど教授のなめらかな話しぶりが、霊媒はみんなインチキだといわんばかりにきこえるのかもしれなかつた。