TRENDIA CLASSIC

ブラウン神父の醜聞

G・K・チェスタートン G. K. Chesterton

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ブラウン神父の数々の冒険を記録しておきながら、この人が一度は重大な醜聞に巻きこまれたことがあるのを認めないでおくのは公平でなさそうだ。ブラウンの名前には汚点がついていると言う人が、おそらく坊さん自身のお仲間にさえ、いまだにあるくらいだからである。事が起つたのは、絵のように美しいメキシコの路傍にある、あとで明らかになるように、かなり評判の悪い旅館の中であつた。そして或る人々には、初めてこの坊さんが頭の奥のロマンチックな気分と人間らしい弱点に対する同情心に動かされてダラシのない不当な行動を取つたように見えたのであつた。話そのものは単純な話で、たぶん単純だからこそ驚くべき事だつたのであろう。

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