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TORENDIA

おしどり

本文約940字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

おしどりの雄を射止めた猟師・村允が、夢で妻鳥の恨みの歌を聞き、翌日赤沼へ行くと雌鳥が自らくちばしで身を裂いて死ぬのを目の当たりにし、僧となる小泉八雲の怪談。

小泉八雲

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🎧 おしどり / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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陸奥の国、田村の郷の住人、村允と云う鷹使でありかつ猟師である男がいた。ある日猟に出たが鳥を得ないで空しく帰った。その途中赤沼と云う所でおしどりが一つがい泳いでいるのを見た。おしどりを殺すのは感心しないが、飢えていたので、村允はその一つがいを目がけて矢を放った。矢は雄鳥を貫いた。雌鳥は向うの岸の蘆の中に逃げて見えなくなった。村允は鳥の屍を家に持ち帰ってそれを料理した。

その晩村允はものすごい夢を見た。美しい女が部屋に入って来て、枕元に立って泣き出すような夢であった。余りはげしく泣くので聴いていると胸が裂けるようであった。女は叫んだ。『何故ああ何故夫を殺しました。殺されるような、どんな罪を犯しましたか。赤沼で私共は楽しく暮していたのです、――それにあなたは夫を殺しました。……あなたに一体、何の害をしたでしょうか。自分で何をしたか、あなたは分っていますか、――ああ、どんな残酷な、どんな悪い事をしたか、分っていますか。……あなたは私も殺しました、――夫がいないでは私は生きている気はない。……私はただこの事を言いに来ました』……それから又、大声で泣き出した――余りはげしく泣いたので、その泣き声が村允の骨の髄までしみ渡った、――それからつぎの歌を、泣き泣きよんだ、――

『日暮るれば さそひしものを、

あかぬまの

真菰がくれの ひとりねぞうき』

この歌の文句を吐き出したあとで、彼女は叫んだ、――

『ああ、あなたは知らない――何をしたか分る訳はない。しかし明日赤沼へ行けば分ります――分ります……』そう云って又悲しそうに泣いて帰った。

朝、目がさめた時、この夢が心にはっきり残っていたので村允は甚だ困った。

『しかし明日赤沼へ行けば分ります――分ります』と云う言葉は、彼にとって忘れられなかった。そこで彼は、その夢は、夢以上のものであるか、どうかをたしかめるために、直ちにそこへ行こうと決心した。

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