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TORENDIA

鋏と布と型

本文約7,200字 ・ 読了時間 約15分

あらすじ(AIが作成しました)

デザイナーの谷川諏訪子は、自身の仕事場にてマネキン人形と対峙する。諏訪子は顧客の体型変化による裁断の失敗を認めようとしないが、マネキンは人間の不完全さや感情の不可避な苦しみを冷徹に指摘し、彼女を翻弄する。仕事と追憶に逃避しようとする諏訪子に対し、マネキンは人間が抱える哀れさとその実存的な矛盾を突きつける。自身の存在に苦悩し、人形への変身を願う諏訪子をよそに、マネキンは残酷なほどに現実へと引き戻し、再び仕事を促す。

久坂葉子

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マネキン人形

谷川諏訪子

机、テーブル、椅子、など散在、中央より、上手に、ボディー、着尺、散在、奥まったところに、マネキン人形、布をまとって、ポーズしている。(註、マネキンは、メーキャップ及び、動作を非人間的に。言葉はそのまま)中央に、大きな姿見一つ。

奇怪なる音楽。

幕

奇怪なる音楽つづく。マネキン、動きはじめる。奇怪なる音楽、静止と共に、マネキンも静止。左手より、諏訪子の声。

声 まあ、ボタンがかからないのですって、それは、あなたがおふとりになったからですわ。私の裁断に限って誤りはございませんもの、失礼いたしました。でも本当なんですもの、私の腕はたしかですわ。狂っちゃいません。決して、ええ、何事にでもですわ。誤算なんて飛んでもない。

諏訪子登場

諏訪子 望月様の奥様。あきれたお方だわ。御自分がおふとりになったのに。御自分が、御洋服にあわないようにおなりになったのに、一体、それがどうして私の責任なんでしょう。二十三インチのウエストが二十五インチにおなりになったのは、牛乳と卵を召上りすぎたせいなんだわ。

椅子に腰かけて、机の上の鋏をもてあそぶ。

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