麦の ほ
本文約830字 ・ 読了時間 約2分
あらすじ(AIが作成しました)
神が地上を歩いていた時代、麦は茎全体にびっしりと実をつけていた。しかし、ある母親が子どもを拭くために麦の穂をむしり取った出来事をきっかけに、神は天の恵みを与える価値がないと判断し、麦の穂をなくすと宣言する。これを聞いた人々は、罪のない鶏のために穂を残すよう必死に懇願する。神は人間が苦しむ姿を憐れみ、麦の穂が茎の上部だけに残る今の状態を受け入れる物語を描く。
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むかし むかし、神さまが、まだ じぶんで、この世の中を、あるきまわっていらっしゃったころの おはなしです。
そのころは、こくもつが、今よりも ずっとずっと よく みのりました。麦のほも、五十や六十 ばかりではありません。四百も五百も ついていました。なにしろ、くきには、麦のつぶが、上から下まで びっしり ついていたのです。くきが ながければながいほど、それだけ、麦のほも ながかったのです。
ところが、人間というものは、あんまり ものがたくさんあると、神さまが おめぐみをくださることも、つい わすれてしまいます。ありがたいとも おもわなくなって、いいかげんな かるはずみなことをしてしまいます。
ある日のことです。女の人が、子どもをつれて、麦ばたけのそばを とおりかかりました。子どもは、とんだり はねたりしていましたが、そのうちに、水たまりにおちて、ふくをよごしてしまいました。
すると、お母さんは、よく みのっている うつくしい麦のほを、ひとつかみ むしりとって、それで、子どものふくをふいてやりました。
ちょうど、神さまが、そこをとおりかかりました。このようすをごらんになると、
「これからは、もう、麦のくきには、ほがつかないようにしてやろう。人間どもは、もうこれからさき、天のおくりものを もらうねうちがない。」
と、おっしゃいました。
まわりで、これをきいていた人たちは、びっくりしました。あわてて、ひざをついて、
「どうか、いくらかでも、麦のくきに、ほをのこしておいてくださいませ。
人間どもは、そうしていただく ねうちはないかもしれませんが、せめて、つみのないにわとりたちのために、おねがいします。さもないと、にわとりたちは、おなかをすかして 死んでしまいますから。」
と、おねがいしました。
神さまは、人間たちが、今に くるしむようになるのを かんがえて、かわいそうにおもいました。そこで、人間たちのねがいを おききいれになりました。
そんなわけで、麦のほは、今のように、くきの上のほうにだけ のこっているのです。
完