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TORENDIA

釘

本文約840字 ・ 読了時間 約2分

あらすじ(AIが作成しました)

金貨や銀貨を売買し、旅路を急ぐ商人の物語。馬の蹄鉄の釘が抜けているという忠告を二度にわたり無視した結果、馬は足を負傷して倒れてしまう。商人は荷物を肩に担ぎ、夜道を歩いて帰宅する。本作は、急ぐあまり些細な不具合を放置したことが、かえって大きな災難を招く過程を描く。

グリム兄弟

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🎧 釘 / 朗読音声: VOICEVOX:春日部つむぎ

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ある商人が、市へ行きました。うまく商売をして、もっていった品物を、みんな売ってしまいました。おかげで、さいふは金貨やら銀貨やらで、いっぱいにふくらみました。

商人は、日の暮れないうちに、家へ帰ろうと思いました。そこで、金貨をいれた旅行かばんを馬にのせて、でかけました。お昼になり、商人は、とある町でひとやすみしました。やがて、またでかけようとすると、その店の下男が、商人の馬をひいてきて、

「だんな。左の後足の金靴の釘が、一本ぬけていますよ。」と、いいました。

「いや、ぬけていたってかまわんよ。これから、まだ六時間ばかり乗っていくんだが、そのあいだぐらいは、金靴も落ちはしないだろう。わしは今、いそいでいるんでな。」

と、商人は答えました。

商人は、お昼すぎにも、また、馬からおりてやすみました。馬にも、えさをやらせました。

すると、その店の下男が、商人のいる部屋にはいってきて、いいました。

「だんな。あの馬の左の後足の金靴が、とれていますよ。鍛冶屋へつれていきましょうか。」

「いや、とれていたってかまわんよ。まだ、二、三時間は乗っていかねばならんが、そのくらいは、金靴がなくてもだいじょうぶだろう。わしは今、いそいでいるんでな。」

と、商人は答えました。

こうして、商人は、馬に乗ってでかけました。しかし、いくらも行かないうちに、馬は足をひきはじめました。足をひいているうちに、こんどは、つまずきはじめました。つまずきつまずき、行くうちに、とうとう、馬はばったりたおれて、足を一本折ってしまいました。

こうなっては、しかたがありません。商人は、馬をそのままにしておいて、かばんを馬からおろすと、肩にかつぎました。それから、てくてく歩いて、夜おそくなってから、やっと、家にたどりつきました。

「あの、いまいましい釘のおかげで、さんざんなめにあってしまった。」

と、商人はひとりごとをいいました。

”いそぐときには、まわり道でも安全な道をえらぶほうが、かえって早い。“というのは、このことですね。

完

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