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TORENDIA

花燭

本文約18,400字 ・ 読了時間 約37分

あらすじ(AIが作成しました)

東京郊外に住む通称「男爵」と呼ばれる男は、経済科を中退後、地主の実家からの仕送りを頼りに、目的なく日々を過ごす廃人のような生活を送っていた。周囲には同様に世間から背徳者とされる貧しい者たちが集まり、男爵は彼らの世話をして過ごしている。ある日、男爵は青年から自身の自意識を克服し生き直すよう手厳しく諭され、新たな世代の出現に希望を抱く。物語は、過去の破綻に囚われた男が、予期せぬ対話を通じて人生の再出発を試みる姿を描く。

太宰治

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一

祝言の夜ふけ、新郎と新婦が将来のことを語り合っていたら、部屋の襖のそとでさらさら音がした。ぎょっとして、それから二人こわごわ這い出し、襖をそっとあけてみると、祝い物の島台に飾られてある伊勢海老が、まだ生きていて、大きな髭をゆるくうごかしていたのである。物音の正体を見とどけて、二人は顔を見合せ、それからほのぼの笑った。こんないい思い出を持ったこの夫婦は、末永くきっとうまくいくだろう。かならず、よい家を創始するにちがいない。

私がこれから物語ろうと思ういきさつの男女も、このような微笑の初夜を得るように、私は衷心から祈っている。

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