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TORENDIA

お菓子の大舞踏会

本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分

あらすじ(AIが作成しました)

お菓子が好物の五郎は、両親に禁止されても隠れて大量の西洋菓子を食べてしまう。満腹のまま眠りにつくと、腹の中で食べたはずのお菓子たちが役者や小人となって行列を作り、宴を繰り広げる不思議な夢を見る。お腹の激痛にうなされて目を覚ました五郎は、事の次第を両親に告白し、医師の診断と苦い薬を経て、二度とお菓子を欲しがらないように変貌していく様を描く。

夢野久作

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🎧 お菓子の大舞踏会 / 朗読音声: VOICEVOX:玄野武宏

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五郎君はお菓子が好きでしようがありませんでした。御飯も何もたべずにお菓子ばかりたべているので、お父様やお母様は大層心配をして、どうかしてお菓子を食べさせぬようにしたいというので、ある日、家中にお菓子を一つも無いようにして、砂糖までもどこかへ隠して、いくら五郎さんが泣いてもお菓子を遣らない事にしました。

五郎さんは死ぬ程泣いてお菓子を欲しがりましたが、お父様もお母様も只お叱りになるばかり……とうとう五郎さんはすっかり怒って、御飯もたべずに寝てしまいました。

翌る日、学校はお休みでしたが、五郎さんは矢張り怒って、朝御飯になっても起きずに寝ておりました。

お父様もお母様も懲しめのためにわざと御飯を片づけてしまって、お父様はどこかへ御用足しにお出かけになり、お母さんも一寸買物にお出かけになりました。

あとにたった一人、五郎さんは、

「ああお腹が空いた。お菓子が欲しいなあ」

と思いながら、涙をこぼしてジッと寝ておりました。

すると玄関の方で、

「郵便……」

と大きな声がして、何かドタリと投げ出される音がしました。五郎さんは思わず大きな声で、

「ハイ」

と言って飛び起きて駈け出しますと、それは四角い油紙で、何だかお菓子箱のようです。しかもその表には「五郎殿へ」と書いて、裏には兄さん夫婦の名前が書いてありました。

五郎さんは夢中になって硯箱の抽出から印を出して、郵便屋さんに押してもらって、小包を受け取りました。鼻を当て嗅いでみると、中から甘い甘いにおいがしました。

五郎さんはもう夢中になって、鋏を持って来て小包を切り開いて見ると、それは思った通りお菓子で、しかも西洋のでした。……ドロップ、ミンツ、キャラメル、チョコレート、ウエファース、ワッフル、ドーナツ、スポンジ、ローリング、ボンボン、そのほかいろいろ、ある事ある事……。

それから食べたにもたべたにも、一箱ペロリと食べてしまった五郎さんは、空箱と包み紙や紐を裏の掃きだめに棄てに行って、帰りがけに台所へ行ってお茶をガブガブ飲むと、そのまま何喰わぬ顔で蒲団にもぐり込んでしまいました。

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