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TORENDIA

水仙月の四日

本文約5,600字 ・ 読了時間 約12分

あらすじ(AIが作成しました)

水仙月の四日、雪婆んごが吹き荒れる中、雪童子は赤毛布にくるまり家路を急ぐ一人の子供を見つける。激しい吹雪で動けなくなった子供に対し、雪童子は凍死を避けるために雪をかぶせ、うつ伏せで眠るよう促す。激務の夜が明け、雪童子と雪狼らが立ち去った後、黄金色に輝く朝日が差し込む。雪童子は、子供を助けに来た父親を見守りながら、新たな日を迎えた銀世界で雪をかき分け、子供を起こそうと試みる。

宮沢賢治

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🎧 水仙月の四日 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん

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雪婆んごは、遠くへ出かけて居りました。

猫のやうな耳をもち、ぼやぼやした灰いろの髪をした雪婆んごは、西の山脈の、ちぢれたぎらぎらの雲を越えて、遠くへでかけてゐたのです。

ひとりの子供が、赤い毛布にくるまつて、しきりにカリメラのことを考へながら、大きな象の頭のかたちをした、雪丘の裾を、せかせかうちの方へ急いで居りました。

(そら、新聞紙を尖つたかたちに巻いて、ふうふうと吹くと、炭からまるで青火が燃える。ぼくはカリメラ鍋に赤砂糖を一つまみ入れて、それからザラメを一つまみ入れる。水をたして、あとはくつくつくつと煮るんだ。)ほんたうにもう一生けん命、こどもはカリメラのことを考へながらうちの方へ急いでゐました。

お日さまは、空のずうつと遠くのすきとほつたつめたいとこで、まばゆい白い火を、どしどしお焚きなさいます。

その光はまつすぐに四方に発射し、下の方に落ちて来ては、ひつそりした台地の雪を、いちめんまばゆい雪花石膏の板にしました。

二疋の雪狼が、べろべろまつ赤な舌を吐きながら、象の頭のかたちをした、雪丘の上の方をあるいてゐました。こいつらは人の眼には見えないのですが、一ぺん風に狂ひ出すと、台地のはづれの雪の上から、すぐぼやぼやの雪雲をふんで、空をかけまはりもするのです。

「しゆ、あんまり行つていけないつたら。」雪狼のうしろから白熊の毛皮の三角帽子をあみだにかぶり、顔を苹果のやうにかがやかしながら、雪童子がゆつくり歩いて来ました。

雪狼どもは頭をふつてくるりとまはり、またまつ赤な舌を吐いて走りました。

「カシオピイア、

もう水仙が咲き出すぞ

おまへのガラスの水車

きつきとまはせ。」

雪童子はまつ青なそらを見あげて見えない星に叫びました。その空からは青びかりが波になつてわくわくと降り、雪狼どもは、ずうつと遠くで焔のやうに赤い舌をべろべろ吐いてゐます。

「しゆ、戻れつたら、しゆ、」雪童子がはねあがるやうにして叱りましたら、いままで雪にくつきり落ちてゐた雪童子の影法師は、ぎらつと白いひかりに変り、狼どもは耳をたてて一さんに戻つてきました。

「アンドロメダ、

あぜみの花がもう咲くぞ、

おまへのラムプのアルコホル、

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