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TORENDIA

夏目漱石先生の追憶

本文約9,100字 ・ 読了時間 約19分

あらすじ(AIが作成しました)

熊本第五高等学校の学生であった寺田寅彦が、英語教師である夏目漱石の私宅を訪ね、俳句の教えを請うたところから親交が始まる。物置きに住む相談を持ちかけるほど距離を縮め、以後、千駄木や早稲田の居宅へ足しげく通う中で、人間としての先生の魅力に触れていく。本書は、門下生の一人である著者が、文学的教示や日常の交友、そして先生の存在が自らの精神に与えた影響を回想し、その温かな人柄を鮮明に綴る追憶の記録である。

寺田寅彦

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熊本第五高等学校在学中第二学年の学年試験の終わったころの事である。同県学生のうちで試験を「しくじったらしい」二三人のためにそれぞれの受け持ちの先生がたの私宅を歴訪していわゆる「点をもらう」ための運動委員が選ばれた時に、自分も幸か不幸かその一員にされてしまった。その時に夏目先生の英語をしくじったというのが自分の親類つづきの男で、それが家が貧しくて人から学資の支給を受けていたので、もしや落第するとそれきりその支給を断たれる恐れがあったのである。

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