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TORENDIA

商賈聖母

本文約290字 ・ 読了時間 約1分

※本文が短いため「あらすじ」は省略いたします。

芥川龍之介

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🎧 商賈聖母 / 朗読音声: VOICEVOX:雨晴はう

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天草の原の城の内曲輪。立ち昇る火焔。飛びちがふ矢玉。伏し重なつた男女の死骸。その中に手を負つた一人の老人。老人は石垣の上に懸けた麻利耶の画像を仰ぎながら、高声に「はれるや」を唱へてゐる。

忽ち又一発の銃弾。

老人はのけざまに仆れたぎり、二度と起き上る気色は見えない。白衣の聖母は石垣の上から、黙黙とその姿を見下してゐる。おごそかに、悠悠と。

白衣の聖母? いや、わたしは知つてゐる。それは白衣の聖母ではない。明らかに唯の女人である。一朶の薔薇の花を愛する唯の紅毛の女人である。見給へ。その女人の下にはかう云ふ金色の横文字さへある。ウイルヘルム煙草商会、アムステルダム。阿蘭陀……

完

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