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TORENDIA

『キング』で得をするのは誰か

本文約1,600字 ・ 読了時間 約4分

あらすじ(AIが作成しました)

雑誌『キング』二月号を詳細に分析し、その内容が軍事経済政策下で苦しむ大衆の実生活を無視し、いかに支配階級の利益を代弁しているかを論じる。平和で安楽な生活を描いた絵画や、諦めを説く金言、戦争を煽る論文など、誌面全体が労働者や農村の意識を逸らし、搾取に抗う意欲を削ぐ役割を果たしていると指摘する。物価高騰への無責任な対策を批判し、大衆を無知と無気力に陥れようとする資本家・地主階級の政治的宣伝としての側面を暴き、これに抗う文化建設の必要性を説く評論。

宮本百合子

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🎧 『キング』で得をするのは誰か / 朗読音声: VOICEVOX:九州そら

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サークル活動をするものの心得として、よく云われる言葉がある。それは、サークルというものは『キング』の読者をもひっくるめての文化的政治的組織でなければならないという言葉である。

現在『キング』がそれほどひろく大衆の間によまれる魅力は一体どこにあるのであろうか。そう思って『キング』二月号を五十銭出して買った。五百十五頁の『キング』一冊に五枚一組袋入りの額面用名画というブルジョア画家の画の複製が景品について来た。

成程、この画は壁の破れたところに貼っても一寸体裁がよかろう。壁が破れても修繕はしてくれず、家賃ばかり矢の催促にくる大家に対して、借家人同盟の長屋委員会をつくろう等という考えは起さず、壁の穴へは、色紙一枚に雀一羽描いて何百円とかとる竹内栖鳳などというブル絵描きのあやしげな複製でもおとなしくはりつけて、気をまぎらして居れということらしい。

頁をめくると、真先に出て来るのは「お祖父さんのお医者様」という題で、暖かそうな机の前で白髪の爺さんが、赤い帽子の孫娘がさし出す人形をおどけた呑気な顔で診察する真似をしてやってる絵だ。二三枚同じように罪なさそうな犬っころだの小鳥だのの色刷絵がある。

『キング』は労働者の家庭にも農村にも入るのだが今日の軍事経済政策による深刻な生活難で、どこの誰の爺さんと孫が実際こんなにヌクヌク安楽な目をして暮らしているか? 欠食児童なんか聞いたこともない。稼ぎてを戦争へ引っぱり出されたので、生きる手段を失い首をくくって死んだ七十の爺さんなんか一人もいない日本だと云いたげな、絵そらごとだ。

資本家地主の専制的な権力をよりあってかためている軍人華族ブルジョア反動教育家などの写真を何枚も見せられ、外国人の写真が出たから何かと見ると下に「人生の快事」と題して「人生にすべての苦難がなくなったときの索漠たる物寂しさを想像して見よ」この世は辛いのでいいのだという金言みたいなのがのっている。

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