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TORENDIA

果して女の虚栄心が全部の原因か?

本文約490字 ・ 読了時間 約1分

あらすじ(AIが作成しました)

軍需会社から金品を受け取った夫人の虚栄心のみが事件の原因とされることに疑問を呈し、それを可能にした周囲の社会的事情こそ探究すべきだと説く宮本百合子の時評。

宮本百合子

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夫人の虚栄心から出入りの軍需工業会社員から金銭を収受し、ついに夫の地位と名誉にまで累を及ぼした植村中将の事件についていって見たい。

こういう事件はやはり昨今の一部にかたよった景気につれて起った事でしょう、まだ一般の間に示されない、大なり小なりの同じような事実がないとはいえないという事は想像できます。

ただこの場合、当事者の夫人の虚栄心が災いを引き起したという事が主として強調されていますが、私ども女にとっては、何か合点の行くような行かないような気がします。

女の虚栄心ということは、昔から一つの通俗的な世間道徳の戒めとなっており、犯罪の裏には女ありなどといわれますが、この夫人の派手ずきな気質を助長させ、またそれを可能ならしめるような周囲の事情というものが、大きい結果を生んだのだということも忘れてはなりますまい。

常識的に見ると、こういう複雑な場合では、この周囲の社会的事情そのものの中にある原因を十分探究摘発すべきであって、たまたま派手ずきで目立っていた一婦人の虚栄心という所にのみ、その責任の大部分を塗りつけるのは無理です、何か弱いものいじめのような気がします。

〔一九三六年十一月〕

完

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