翩翩
本文約3,800字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
放蕩の末に病を得て故郷へ戻る途上の羅子浮は、山中で仙女の翩翩と出会う。洞穴で手厚い看護を受け病が癒えた羅は、彼女と夫婦となり平穏な日々を過ごす。やがて子が生まれ、その成長を見守る中で羅は故郷への想いを募らせる。翩翩の導きにより羅は子夫婦を伴って帰郷を果たすが、身に纏っていた葉の着物は消え去り、再び山へ戻った際には既に仙界への道は閉ざされていた。不思議な力を持つ女との邂逅と別れを描く物語である。
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羅子浮は汾の人であった。両親が早く亡くなったので、八、九歳のころから叔父の大業の許へ身を寄せていた。大業は国子左廂の官にいたが、金があって子がなかったので、羅をほんとうの子供のようにして可愛がった。
羅は十四になって、良くない人に誘われて遊廓へ遊びにいくようになった。ちょうどその時金陵から来ている娼婦があって、それが郡の中に家を借りて住んでいた。羅はそれに惑溺して通っていたが、そのうちに娼婦は金陵へ返っていった。羅はそっと娼婦について逃げ出し、金陵へいって娼婦の家に半年ばかりもいたが、金がなくなったので、ひどく娼婦の女兄弟から冷遇せられるようになった。しかし、それでもまだ棄てられるほどではなかったが、間もなく瘡が出来て、それが潰れて牀席をよごしたので、とうとう逐い出された。
羅は困って乞食になった。市の人は羅の瘡が臭いので遠くからそれをさけた。羅は他郷でのたれ死をするのが、恐ろしいので、乞食をしながら西へ西へと返っていった。毎日シナの里数で三、四十里も歩いて、やっと汾の境までいったが、敗れた着物を着てひどく汚くなっている自分の姿を顧みると、村の門を入っていって村の人に顔を合せることができなかった。しかし、それでも故郷が恋しいので、ためらいためらい歩いて村の近くまでいった。
日がもう暮れていた。羅は山寺へいって宿をかろうと思った。その時向うから一人の女が来た。それは綺麗な仙女のような女であった。女は近くなると、
「どこへいらっしゃるのです。」
といって訊いた。羅はほんとうのことを話した。すると女がいった。
「私は出家です。山の洞穴の中に家があります。おとめしてもよろしゅうございます。何も恐しいことはありませんよ。」
羅は喜んで女についていった。女は深い山の中へ入っていった。そこに一つの洞穴があって、入口に渓の水が流れ、それに石橋をかけてあった。その石橋を渡って入っていくと石室が二つあって、そこには明るい光が照りわたっているので、燈火を用いる必要がなかった。女は羅にいいつけて汚いぼろぼろの着物を脱がして、渓の中へ入って体を洗わし、
「これで洗いますと、創がなおりますよ。」