長い名
本文約1,800字 ・ 読了時間 約4分
あらすじ(AIが作成しました)
ちょんきりのちょんさんは、母親の最期の言葉から極めて短い名前で呼ばれていた。一方、後に生まれた弟は、寿命を延ばすために非常に長い名前を授かる。名前の長さで運命や周囲の扱いに差が生じる中、兄は井戸に落ちてもすぐに救出されるが、あまりに長い名前を持つ弟が同様に井戸へ落ちた時、その複雑で長い名を呼ぶ手間に時間を要し、救助が遅れるという皮肉な展開を描く。名前が人の運命に及ぼす影響を題材にした物語。
💰 この本を応援する(投げ銭)
一
ちょんきりのちょんさんのほんとうの名をだれも知りませんでした。何でも亡くなったこの子のおかあさんが、この子の運がいいように何かいい名前をつけようと、三日三晩考えぬいて、病気になって、いよいよ目をつぶるというときに、かすかな声で、
「ああ、やっと考えつきました。この子の名はちょん。」
といいかけたなり、もう口が利けなくなってしまったのです。そこでみんなはしかたがないので、「ちょん」きりで、名前が切れて無くなってしまったというので、「ちょんきりのちょんさん」とあだ名を呼ぶようになりました。そのあだ名がほんとうの名前になって、いつまでたっても、その子はちょんきりのちょんさんでした。
しばらくたって、ちょんきりのちょんさんのおとうさんが、二度めのおかあさんをもらいました。間もなくこのおかあさんにも子供が生まれて、ちょんきりのちょんさんにも弟が出来ました。するとある人がおかあさんに、子供に短い名前をつけると、その子の命は短いし、長い名前をつけるほど、その子の寿命は長いものだといって聞かせました。そこでおかあさんは、かわいい子に、せいぜい長い名前をつけてやりたいと考えて、とうとうつけもつけたり、
「ちょうにん、ちょうにん、ちょうじゅうろう、まんまる入道、ひら入道、せいたか入道、へいがのこ、いっちょうぎりの、ちょうぎりの、ちょうのちょうのちょうぎりの、あの山の、この山の、そのまた向こうのあの山越えて、この山越えて、桜は咲いたか、まだ咲かぬ、花より団子でお茶上がれ、お茶がすんだら三遍回って煙草に庄助。」
という、すてきもない長い名前をつけました。
二
兄弟はだんだん大きくなって、よくけんかをしました。すると弟はにいさんにさんざん悪いいたずらをしては、逃げて行って、遠くの方でまだからかっていました。
「ちょんきな、ちょんきな、ちょんちょん、きなきな。」
こういわれると、ちょんさんはくやしがって、負けずに弟の名前を呼んで、からかい返してやろうとしましたが、
「ちょうにん、ちょうにん、ちょうじゅうろう、まんまる入道、ひら入道、せいたか入道、へいがのこ、いっちょうぎりの、ちょうぎりの。」