狐物語
本文約3,900字 ・ 読了時間 約8分
あらすじ(AIが作成しました)
四国の山に住む狐の六兵衞は、好奇心から里へ降りて人間と遭遇する。無実の罪で人間に捕まり箱へ閉じ込められるが、命からがら脱出する。逃げ出す途中で出会った牛の赤兵衞と身の上話を分かち合い、人間社会の勝手さや理不尽さを知る。傷ついた六兵衞は故郷の山へ帰り、夜毎に赤兵衞へ向けて鳴き声を響かせる。人間とは異なる価値観を持つ動物たちの交流と、それぞれの生きる世界を守ろうとする姿を描く。
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四國のある山の中に、おもしろい狐がすんでいました。
いつも、ひとりで歩くことがすきでしたが、ある雨の日、いつものように餌をあさってぼつぼつ歩いていますと、男の子が四五人、がやがや話しながら山を下っていました。
狐は、時々人間をみたことがあったし、人間は二本の足で立って歩いているので、狐は珍らしくて仕方がないのです。狐のおかあさんは、「人間のところへ行くとひどいめにあうから、人間のところへぜったいに近づいてはいけませんよ。」と、いつもいうのですけれど、狐は、人間の姿がおかしくて仕方がなかったし、第一、ひょろひょろと、立って歩いているのがおかしくてしかたがないのです。狐は子供たちのうしろからそっとついて行きました。
「このへんは六兵衞狐の出るところだぞ。」
一人の子供がいいました。
「晝間から出ることはないだろう。」
また一人の子供がいいました。
「晝間でも雨が降っているから出るかもしれん。」
また、もう一人の子供がいいました。
時々、とおくで雷が鳴っています。
子供たちは、何となく氣味がわるくなったのでしょう、歩いていた子供たちは、ふっと足をとめて耳をそばたてました。すると、一人の子供がふいに後をふりかえって、狐をみました。
「あッ、狐が出おったぞッ。」
子供たちはびっくりして、まるで豆がはぜたようなすさまじい勢で、走って山を下りはじめました。
狐もびっくりしました。どうしてあんなに子供達がさっと走って行ったのだろうと思いました。雨の降るなかを、狐もぬれながら、子供たちの後を追いかけてゆきました。
細い山道をいくまがりもして、やっと、人間の通るらしい道の近くへ來ますと、山の田圃ぞいのところで、大きい牛がもうもうとないていました。
狐は自分たちよりも大きい動物をみて、しばらくあきれて眺めていました。何て大きいのだろう……。お尻は箱のように四角くて、骨ばっていたし、たれさがった腹や脚が泥だらけです。そしておもしろいことには、大きい鼻の穴にまあるいかんをつけて太い紐がついていました。
狐はおずおず牛の前へ行って、ていねいに頭をさげました。牛はびっくりして狐をみました。
「あなたはいったい、どなたさまですか。」