TORENDIA
ラムプの影
正岡子規
TORENDIA
ラムプの影
本文約2,300字 ・ 読了時間 約5分
あらすじ(AIが作成しました)
病床に伏す筆者が、天井や襖の染みを眺めては人の顔を見出す日々を綴る。ある年の暮れ、新聞に投書された俳句の整理に追われ疲労困憊する中で、枕元のランプの火影がガラス障子に映る。その揺らめく灯火を見つめると、子供や紳士、鬼や耶蘇など次々と不思議な顔が浮かび上がる。見せ物を見るような心持ちで変化を試みるうち、次第に死人のような横顔までが現れ、筆者はそれを見届けて自ら観察を終えるまでの体験を描く。
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🎧 ラムプの影 / 朗読音声: VOICEVOX:もち子さん
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病の牀に仰向に寐てつまらなさに天井を睨んで居ると天井板の木目が人の顔に見える。それは一つある節穴が人の眼のやうに見えてそのぐるりの木目が不思議に顔の輪郭を形づくつて居る。其顔が始終目について気になつていけないので、今度は右向に横に寐ると、襖にある雲形の模様が天狗の顔に見える。いかにもうるさいと思ふて其顔を心で打ち消して見ると、襖の下の隅にある水か何かのしみが又横顔の輪郭を成して居る。仕方が無いから試に左向きに寐て見るとガラスごしに上野の杉の森が見えて其森の隙間に向ふの空が透いて見える。其隙間の空が人の顔になつて居る。丁度画探しの画のやうで横顔が稍逆さになつて見えるのは少し風変りの顔だ。再び仰向になつて、今度は顔の無い方の天井の隅を睨んで居ると、馬鹿に大きな顔が忽然と現れて来る。
筒様に暗裏の鬼神を画き空中の楼閣を造るは平常の事であるが、ラムプの火影に顔が現れたのは今宵が始めてゞある。
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